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2019-03-21(Thu)

【事例演習刑事訴訟法】第21講「自白の証拠能力⑵」

ブルボンとかロッテとかヤマザキビスケットとかが,

製品に金属片が混入していたとかで,

お菓子を自主回収しているようです。

一部は,回収と同時にQuoカードもあげるんだそうです。

私もお菓子買っとけばよかったですね。

チョコパイとか好きですし,アルフォートも好きです。

健康被害もまだ問題となっていないようですし。

定期的にお菓子は買うことにしましょう。

ところで,今回は,古江の第21講です。

≪問題≫
省略


2問連続で自白の問題です。

今回は派生証拠と反復自白。

第20講に比べれば応用度は高めです。

派生証拠は違収排まで言及した方がいいんですかね。

どっちにしろ重大な違法収集証拠排除法則じゃないので,

すぐ切れてしまうと思うんですが……。

≪答案≫
第1 自白該当性について
 Xは,警察官Kに対して,覚せい剤を譲渡したこと及び主犯がYであること並びに覚せい剤はB方に隠匿している旨供述している。これは,Xが自己の覚せい剤有償譲渡及びB方における覚せい剤所持の犯罪事実の全部を認める供述であるから,「自白」(刑訴法319条)である(以下,XのKに対する供述を「本件自白①」という。)。また,Xは,検察官Pに対しても同様の供述をしているため,これも「自白」である(以下,XのPに対する供述を「本件自白②」という。)。
第2 本件自白②の証拠能力について
 1 裁判所は本件自白②を証拠として採用するためには,本件自白②が「任意にされたものでない疑」のないものである必要がある(憲法38条2項,刑訴法319条1項)。そこで,本件自白②について,「任意にされたものでない疑」があるかどうかを検討する。
 2 憲法38条2項及び刑訴法319条1項が,任意性を欠く自白を証拠とすることができないものとしたのは,供述に際して被疑者・被告人の自由な意思決定を妨げ虚偽の自白を誘発する状況がある場合には,これを用いて裁判をすることが誤った事実認定につながるおそれがあるため,これを排除するものである。したがって,供述過程にある被疑者の自由な意思決定を妨げる事情により被疑者が心理的強制を受け,類型的に虚偽の自白が誘発されるおそれのある疑いが認められるときには,その状況の下でされた自白は「任意にされたものでない疑」があるということになる。
 3 これを本件についてみると,前提として,Xが本件自白①をするに至るまでには,KがXに対して「君が犯行を自白し,残りの覚せい剤の隠匿場所を明らかにすれば,不起訴にする」などと申し向けている。そこで,ここでのXの任意性について検討すると,警察官は,被疑者を不起訴にする権限を有しないが(刑訴法248条参照),通常の被疑者であれば,警察官と検察官の権限分配について必ずしも正確に理解していないものと考えられ,警察官本人から直接的にこのように申し向けられれば,警察官が不起訴の判断をする権限があるものと誤信し,あるいは検察官に対して不起訴にするように働きかける権限があるものと誤信するものと考えられる。ここで,Kが提示した内容は,自白と引き換えに不起訴処分とすることであるが,逮捕・勾留によって身柄を拘束されているXからすれば,何よりも先に得たい利益であると考えられる。そのうえで,Kは,不起訴にするという断定的な発言をしており,その利益を確実に与えるかのように,弁護士等を介さずに直接申し向けており,特にXが不利益処分の利益を得るために自白をするように誘導しているものである。これらの事実からすれば,Kの提示した利益誘導により,Xは不起訴処分という大きな利益を得るために自白をしようという心理状態に陥っていたものとみることができる。したがって,本件自白①がされるまでに,Xは類型的に虚偽の自白が誘発される状況にあったとみることができる。このような状況の下でXは本件自白①をするに至っているのであるから,本件自白①は「任意にされたものでない疑」があるというべきである。
 次に,本件自白②についてみると(※1),Xが本件自白②をする際には,Pから特段の働き掛けがあったとの事実は認められない。そうすると,Xが本件自白②をするにあたり,それが「任意にされたものでない疑」があるということはできないようにも思える。しかし,本件自白①におけるXに対するKの約束による心理的影響はPによる取調べにおいても残存するのが一般である。そして,PとKはどちらも捜査機関であることには変わりがなく,前記のように警察官と検察官との権限分配について必ずしも理解していない被疑者からすれば,ここでの取調官の交代は前記心理的影響を除去し得るものではない。そして,取調べの日時も比較的近接しており,なお前記心理的影響が残存し続けていると考えられるから,Pにおいて特段の影響遮断措置をとらなければならないところ,Pがこのような措置をとったとの事実は認められない。したがって,本件自白②においても,Xは前記心理的影響を受け続けたままであり,類型提起に虚偽の自白が誘発される状況にあったとみることができる。このような状況の下でXは本件自白②をするに至っているのであるから,本件自白②は「任意にされたものでない疑」があるというべきである。
 4 以上から,本件自白②は,その証拠能力が認められないから,裁判所は,本件自白②を証拠とすることができない。
第3 覚せい剤の証拠能力について
 1 B方から発見された覚せい剤(以下「本件覚せい剤」という。)は,本件自白①に基づいてB方に対してされた捜索によって発見されたものであるが,本件自白①自体は前記のように証拠能力を欠くから,これに基づく捜索・差押えによって収集された本件覚せい剤も,その証拠能力が否定されないか。
 2⑴ 憲法38条2項及び刑訴法319条1項が,任意性を欠く自白を証拠とすることができないものとした前記の趣旨からすれば,不任意自白から派生して収集された証拠は,類型的に虚偽の自白が誘発されるおそれのある疑いが認められるときには証拠能力が否定される。
 もっとも,不任意自白から派生して収集された証拠で,類型的に虚偽の自白が誘発されるおそれのある疑いが認められないものあっても,自白と一体と評価し得るほど結びつきが強いものは,自白の内容を前提としてのみ要証事実との関連性が肯定されるから,そのような証拠は,関連性がないため,証拠能力が認められない(※2)
  ⑵ これを本件についてみると,本件覚せい剤は,証拠物であって,心理を持ち合わせていないのであるから,類型的に虚偽の自白が誘発されるおそれがある疑いが認められるとはいえない。また,本件覚せい剤は,本件自白①から派生して収集されたとはいえ,本件自白①が化体したようなものではなく,これと一体と評価し得るほど結びつきが強いとは認められない。
 3 また,別途本件覚せい剤について違法収集証拠排除法則の適用により,本件覚せい剤が証拠禁止にあたる可能性もあるが,KがXに対して不起訴の約束をしたことが,憲法や刑訴法の所期する基本原則を没却するような重大な違法であるとまでは認められないから,違法収集証拠排除法則の適用はない。
 4 よって,本件覚せい剤は,証拠能力が認められるから,裁判所は本件覚せい剤を証拠とすることができる。

以 上


(※1)「反復自白については,『影響の残存・遮断』の判断要素として,第1次取調べの方法,取調官の異同,取調べの時間的間隔・場所的同一(近接)性,弁護士との接見の有無,その他の影響遮断措置の有無等を総合的に考慮すべき」解説297頁
(※2)「虚偽排除説によって自白を排除した場合であっても,不任意自白に基づいてなされた引き当たりの捜査報告書(福岡高判平成5・3・18判時1489号159頁)のように,『自白と一体と評価しうるほど結びつきが強い派生証拠』は,自白の内容を前提としてのみ要証事実(主要事実)との関連性が肯定されることから,そのような派生証拠は,関連性がないことを理由として排除されうること……に留意が必要だろう」解説292頁


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
◎その他の答案リンク集はこちら→
2019-03-21(Thu)

【事例演習刑事訴訟法】第20講「自白の証拠能力⑴」

さて,【本日の一品】改め【昨日の一品】のコーナーです。

さて,私が昨日いただいたラーメンは一体なんだったのか。

S__14467074.jpg

こちらは,八王子にあります……

正確には,ありました,九州らーめん桜島の味噌らーめんでございます。

まず特徴的なのは,見てお分かりのように,

上にドーンと何か載ってますね。

こちら,麹味噌でございまして,

これをスープに溶かしながら食べていくということですね。

独特のスタイルだと思います。

味噌にも具材が豊富に入っており,

味噌の甘みを引き立てるのに一役買っております。

らーめん自体の具材は至ってシンプル。

トッピングを何もつけなければもやしだけ。

私はチャーシューをプラスしました。

さて,こちらのお店,「ありました」というのは,

実は昨日3月20日をもって閉店となってしまったんですね。

私も前々から八王子に来たときに気になっていたお店なんですが,

遂に最初で最後の訪問ということになってしまいました。

もっと早くからこの味を知っていれば,

何回も通っていたことでしょう。

惜しいですね。

最終日ということで,店の外には長蛇の列ができており,

店に入れるまで2時間弱はかかりました。

八王子のソウルフードとして人気を博していたことがとてもよく分かりました。

ところで,今回は,古江の第20講です。

≪問題≫
省略


自白です。

自白って,なんか知らないけど難しそうな響きしてませんか???

あれかな,民訴の自白のところがごっちゃごちゃしてるせいかな。

民訴に比べると,刑訴の自白は根拠論や適用方が整理されているので,

理解はしやすいですけど,

実践となるとやはり難しいですよね。

違収排とか絡んでくるのがキモいですね。

≪答案≫
1 XがB候補への投票依頼の趣旨を認識しながらCから現金10万円の供与を受けた旨供述したことは,自己の犯罪事実の全部を認める供述であるから,「自白」(刑訴法319条)である(以下,Xの供述を「本件自白」という。)(※1)。裁判所が本件自白を採用するためには,本件自白が「任意にされたもの」である必要がある(憲法38条2項,刑訴法319条1項)。そこで,本件自白が,「任意にされたもの」であるかどうかについて検討する。
2 憲法38条2項及び刑訴法319条1項が,任意性を欠く自白を証拠とすることができないものとしたのは,供述に際して被疑者・被告人の自由な意思決定を妨げ虚偽の自白を誘発する状況がある場合には,これを用いて裁判をすることが誤った事実認定につながるおそれがあるため,これを排除するものである(※2)。したがって,供述過程にある被疑者の自由な意思決定を妨げる事情により被疑者が心理的強制を受け,類型的に虚偽の自白が誘発されるおそれのある疑いが認められるときには,その状況の下でされた自白は「任意にされたものでない疑」があるということになる。
3 これを本件についてみると,Xが本件自白をするに至るまでには,警察官KがXに対して「事実を認めたら,俺がうまく検事に話して確実に不起訴にしてやるから」などと申し向けている(※3)。警察官は,被疑者を不起訴にする権限を有してはいないが(刑訴法248条参照),通常の被疑者であれば,警察官と検察官の権限分配について必ずしも正確に理解していないものと考えられ,警察官本人から直接的にこのように申し向けられれば,警察官が検察官に不起訴の判断をするように働きかける権限があるものと誤信するものと考えられる。ここで,Kが提示した内容は,自白と引き換えに不起訴処分とすることであるが,既に15日の長期にわたり身柄を拘束され相当程度疲弊しているXからすれば,何よりも先に獲得したい利益であると考えられる。そのうえで,Kは確実に不起訴にすると断言しており,その利益を高確率で与える旨を,弁護士等を介さずに直接申し向けており,特にXが不起訴処分の利益を得るために自白をするように誘導しているものである。これらの事実からすれば,Kの提示した利益誘導により,Xは不起訴処分という大きな利益を得るために自白をしようという心理状態に陥っていたものとみることができる。したがって,本件自白がされるまでに,Xは類型的に虚偽の自白が誘発される状況にあったとみることができる。このような状況の下でXは本件自白をするに至っているのであるから,本件自白は「任意にされたものでない疑」があるというべきである。
4 以上から,本件自白は「任意にされたもの」とはいえないから,証拠能力が認められない。よって,裁判所は,本件自白を証拠とすることができない。

以 上


(※1)『自白』(法319条)とは,被疑者・被告人が自己の犯罪事実ないし公訴事実の全部または主要部分を認める供述をいう。」酒巻匡『刑事訴訟法』507頁
(※2)「憲法38条2項が直接要請する自白排除は,拷問の禁止(憲法36条)とも相俟って人心に対する違法不当な圧迫・侵害を防止し,供述の自由を確保する趣旨である。強制等により獲得された真実の自白であってもこのような趣旨から排除される。」「これに加えて,法319条1項の定める『任意にされたものでない疑のある自白』とは,供述過程に虚偽の自白を誘発するおそれのある状況,すなわち供述に際して被疑者・被告人の自由な意思決定を妨げる事情が認められる場合をいう。これは,虚偽自白による誤った事実認定の危険を排する趣意である。」前掲酒巻509頁
(※3)「利益誘導や約束が被疑者の審理に影響を及ぼし,類型的に虚偽の自白を誘発するおそれがあるかどうか,そしてそのような状況下で自白がなされたかどうか……については,①自白採取者側の事情として,㋐利益供与(約束)の主体の権限(警察官が『必ず起訴猶予になる』と申し向けた場合でも,被疑者が当該警察官には検察官に働きかける力があるといった被疑者の認識こそが重要であって,必ずしも利益供与(約束)の権限がある場合に限らない……),㋑供与する利益の内容(起訴猶予の約束はその一類型。供与される利益の内容が,被疑者にとって,自白することの不利益を凌駕するだけの利益があるかどうか。不起訴,保釈など刑事責任に関する利益が中心であろうが,覚せい剤の注射など世俗的利益でも足るとされている),㋒利益供与(約束)の意図・方法(⒜自白獲得を意図したか,単に不用意に発言したにすぎないか,⒝具体的・明示的か,暗示・示唆か,⒞直接か,弁護人その他の者を介してか,など),次に,②被疑者側の事情として,㋐提示された利益(約束)の受けとめ方(提示された利益の被疑者にとっての大きさ。同じタバコ1本の供与でもヘビースモーカーかどうかで異なり得る),㋑当時の身体的・精神的状況(精神状態の不安定,持病など健康状態,知能程度など)等の事情を総合的に考慮して判断することになるだろう」解説280頁


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
◎その他の答案リンク集はこちら→
2019-03-21(Thu)

【事例演習刑事訴訟法】第19講「類似事実証拠排除法則」

昨日は,答案を1通しか書くことができませんでした。

そんなつもりじゃなかったんですがねえ……。

突発的な飲みはよくないですね。

今日は頑張ってたくさん答案を書きます。

まずは,古江の第19講から。

≪問題≫
省略


類似証拠ですね……。

TKCで出ましたね……。

もっと早く読んでおけば,あんな訳分かんない答案は書かなかったでしょうね……。

≪答案≫
1 裁判所は,被告人が自認する4件の犯罪事実を,他の6件の器物損壊について被告人と犯人の同一性の推認に用いようとしている。前4件の犯罪事実は,後6件の器物損壊と類似する事実(以下「類似事実」という。)にすぎないのであるが,裁判所が被告人と犯人との同一性の推認にあたり,類似事実を用いることができるかについて検討する。
2 類似事実を証拠として用いる場合には,類似事実と証明対象との間に関連性があることが必要である。この点,類似事実は,一般的には犯罪事実について,様々な面で証拠としての価値を有しているから,自然的関連性は認められる。もっとも,類似事実については,被告人の犯罪性向といった実証的根拠の乏しい人格評価につながりやすく,そのために事実認定を誤らせるおそれがあり,また,これを回避し,類似事実の証明力を合理的な推論の範囲に限定するため,当事者が類似事実の内容に立ち入った攻撃防御を行う必要が生じるなど,その取調べに付随して争点が拡散するおそれもある(※1)。したがって,類似事実は,原則として法律的関連性が認められないが,前記の問題点からして,類似事実によって証明しようとする事実について,実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないと認められるときは,類似事実に法律的関連性が認められ,これを証拠とすることが許される。そして,類似事実を被告人と犯人の同一性の証明に用いる場合には,類似事実が顕著な特徴を有し,かつ,それが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似していると認められるときには,類似事実について実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないと認められる(※2)(※3)(※4)
3 これを本件についてみると,類似事実である前4件の犯行手口は,ベンツという特定の車種について,その後輪タイヤを同様の方法によりパンクさせ,ボンネットにいずれも「Z」状に傷つけるものであって,類似性が認められ,かつ特殊なものである。また,犯行地域は鎌倉市内の海岸沿いの高級マンションの駐車場と,特定の地域に絞られており,犯行日も平成26年7月下旬から8月中旬と短期間に限定されている上,時間帯は午後9時から午後10時の間と限定されている。これらの事実からすれば,類似事実である前4件の犯罪事実については,顕著な特徴があるということができる。
 そして,他の6件の犯罪事実についても,犯行手口や場所,日時等が前4件とほぼ同様であるから,相当程度類似していると認められる。
 以上から,本件における類似事実を用いて犯人性を推認しても,実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないということができる。
4 よって,裁判所は,被告人の自認する4件の犯罪事実を,他の6件の器物損壊について被告人と犯人の同一性の推認に用いることができる。

以 上


(※1)同種前科の証拠能力のうち,法律的関連性を問題とすることの根拠として,最判平成24年9月7日刑集66巻9号907頁は,「前科,特に同種前科については,被告人の犯罪性向といった実証的根拠の乏しい人格評価につながりやすく,そのために事実認定を誤らせるおそれがあり,また,これを回避し,同種前科の証明力を合理的な推論の範囲に限定するため,当事者が前科の内容に立ち入った攻撃防御を行う必要が生じるなど,その取調べに付随して争点が拡散するおそれもある。」としています。そして,最判解刑事篇平成25年度20頁は,「前科に係る犯罪事実であれ類似事実であれ,これを犯人性の立証に用いる場合の推認の構造と問題点は同じといえる」としています。
(※2)「前科に係る犯罪事実や被告人の他の犯罪事実を被告人と犯人の同一性の間接事実とすることは,これらの犯罪事実が顕著な特徴を有し,かつ,その特徴が証明対象の犯罪事実と相当程度類似していない限りは,被告人に対してこれらの犯罪事実と同種の犯罪を行う犯罪性向があるという実証的根拠に乏しい人格評価を加え,これをもとに犯人が被告人であるという合理性に乏しい推論をすることに等しく,許されないというべきである。」前掲最判平成25年2月20日
(※3)顕著な特徴・相当程度類似は,実証的根拠の乏しい人格評価が入らない例外的な場合の1つにすぎないので(他の例外は,解説にもあるように,強固な犯罪傾向がある場合,推認力を高める他の事情が付加できる場合など),規範として示す必要はないかもしれません(顕著な特徴・相当程度類似に沿ったあてはめをすれば十分な気がします)が,一応前掲最判平成24年9月7日や前掲最判平成25年2月20日は,あてはめの前段階で顕著な特徴・相当程度類似を示していますので,答案でもこれに従っています。
(※4)ちなみに,解説で示されている,他の例外(①強固な犯罪傾向,②推認力を高める他の事情の付加)についても論証(答案の2の「そして,類似事実……」以降の部分を代置するもの)を書くとすれば,下記のようになるかと思います。
①「そして,類似事実[同種前科]から推認される被告人の犯罪性向が,単なる悪性格という程度を超えて,特定の状況の下においては,いわば自然反応的に一定の行為を行うほどに習慣化している場合には,そのような状況の下で被告人が犯行を行ったという推認はより確実性の高いものであるといえるから,類似事実[同種前科]について実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないと認められる」
②「そして,類似事実[同種前科]それ自体からは犯人性の推認力が強くない場合であっても,他の事情によって推認力が高まる関係にある場合には,これらの事実を総合して推認される犯人性については確実性の高いものであるといえるから,類似事実について実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないと認められる」


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
◎その他の答案リンク集はこちら→
2019-03-20(Wed)

【事例演習刑事訴訟法】第18講「法律上の推定」

古江しかやらない日々が続いていますが,

さっさと終わらせないと他の科目をやっている暇がなくなってしまいます。

今年に入ってから,まだ刑法と行政法とかまともにやってないですからね。

憲法とかやらないとヤバいですよね。

あと民法と民訴も。

それから短答も。

2ヶ月を切った段階でこの現状は悲惨な気がしますね。

生き残りたいです。

≪問題≫
省略


またよく分からない分野の設問ですね……。

ってか,答案を書くうえで酒巻先生の基本書を参照しまくっているのですが,

ここのところは,あまりにも参照箇所が多すぎて,

もはや古江本ではなく酒巻本になりつつあります。

酒巻先生の本はそのまま答案に書けるような記載が多いので,

仕方ないですね(開き直り)

≪答案≫
1 収賄罪に関する設問の規定(以下「本件規定」という。)は,収賄罪の構成要件の一部について,その事実の存否が真偽不明である場合に不利益な認定を受ける当事者の地位(以下「証明責任」という。)(※1)を被告人側に転換する機能を有するようにも思えるが,このような規定は認められるか。
2⑴ 憲法31条は,刑罰を科すにあたって,その手続が法定されていることを要求するとともに,その手続が適正であることも要求している(※2)。刑罰を科すにあたっては,検察官が主張する公訴事実について,合理的な疑いを容れない程度の証明が必要である(※3)。そして,刑罰は重大な不利益を伴うことに鑑みると,被告人が犯罪を行ったか否かが真偽不明の状態で刑罰を科すことは,刑事手続の適正に欠けるというべきである。したがって,憲法31条は,被告人が犯罪を行ったか否かが真偽不明の状態の場合には,被告人を無罪とすべきであること(以下「利益原則」という。)についても要請している(※4)。刑訴法336条は,利益原則を手続法的に規定したものであると考えられる。
 以上からすると,被告人が犯罪を行ったか否かが真偽不明の状態のときに,これを被告人に不利益に扱うことは許されないのであるから,証明責任を被告人側に負わせることは許されず,これを検察官が負わなければならない(※5)。これに反して,被告人側に証明責任を負わせるような規定は,特段の合憲的解釈が可能でない限り,憲法31条に反し違憲である(※6)
 ⑵ 本件規定は,「通常の社交の程度を超える財物その他の財産上の利益を収受し,要求し,又は約束した」ことを前提事実とし,これが証明されれば,「職務に関して賄賂を収受し,要求し,又は約束した」ことを推定事実しすることができるとする,法律上の推定を規定するものである(※7)。このような規定は,憲法31条に反しないか。
 推定事実が構成要件該当事実の一部であるばあ,仮に被告人がその不存在の立証に失敗したとき推定事実の存在を認定しなければならないとすると,刑事責任の基礎となる事実が真偽不明であるにもかかわらず被告人に刑罰を科すことになるから,利益原則に反するものであり,憲法31条に違反する。そこで,法律上の推定規定は,前提事実が証明され,これに対して被告人側が推定事実について反証できない場合に,裁判所が推定事実について合理的な疑いを容れない程度の心証を得たときには,推定事実を認定できるとしたにとどまるものと考える。この場合,法律上の推定規定は,被告人側から推定事実に対する合理的反証がない場合には,これを間接証拠として付加することにより,その総合評価によって合理的な疑いを容れない程度の心証に到達する可能性を設けるという役割を果たすことになる(※8)。このような合憲的解釈をとる限りは,法律上の推定規定は,憲法31条に反するものではない。
 したがって,本件規定も,被告人側から推定事実に対する合理的反証がない場合に,これを間接証拠として,その総合評価により合理的な疑いを容れない程度の心証に到達する可能性を設けたものにすぎないと解釈する限り,利益原則と抵触するものではない。
3 もっとも,このような合憲的解釈を行う前提として,個々の推定規定の内容が合理性を有していることが必要である(※9)。合理性の基準としては,①検察官にとって推定事実の立証が困難であるため,推定規定を設ける必要性があること,②前提事実の存在から推定事実の存在を推認することに合理性があること,③被告人において推認を破る証拠や推定事実の不存在を示す証拠を提出することが容易であることが充たされることが必要である。
 これを本件規定についてみると,②通常の社交の程度を超える財産上の利益が移転した場合には,職務関連性が肯定されるとするのが判例であるから(※10),前提事実が存在するときには,推定事実の不存在よりも存在の蓋然性が大きいということができるから,推認家庭の合理性がある。また,③被告人にとっても,社交の範囲ということ等により,職務関連性について反証を行うことが容易である。しかし,①このような推定規定を設けなくとも,職務関連性についての立証は特段困難であるとは考えられない。
 したがって,本件規定は,法律上の推定規定としての合理性を有していない。
4 よって,本件規定は,憲法31条に反し違憲とされる疑いがある。

以 上


(※1)「証拠調べを尽くしても,裁判所が事実の存否について要請される証明の水準・心証に達しなかった場合,それでも裁判をするためには事実を存否いずれかに認定しなければならない。このように事実の存否が真偽不明である場合に,不利益な認定を受ける当事者の地位を『挙証責任(証明責任・立証責任)』という。」酒巻匡『刑事訴訟法』475頁
(※2)「31条は,『法律の定める手続』としか書いていない。では,法律の定める手続には適正さは要求されないのであろうか。この点,合衆国憲法は『適正な(due)』と記してあるので,手続の適正さまで要求されていることが分かるが,日本国憲法の場合はどうであろうか。」「この点について,31条は手続の法定を要求するだけで,その適正さは立法政策にゆだねられているとする解釈もある。この解釈は,法文の意味に忠実であるという利点はあるものの,デュープロセスの思想がもつ豊かな内容を取り込めない欠点がある。仮に,本条が要求するのは手続の法定にとどまるとするならば,実質的な告知聴聞の手続を保障しないような手続は本条違反とすることができなくなる。このような点を考えると,本条は手続の適正さまで要求していると解すべきであって,むしろ手続の適正さを要求してはいないとする積極的理由に乏しいと考えるべきではなかろうか。」工藤達朗ほか『憲法〔第4版〕』195頁
(※3)「検察官が主張する公訴事実については,『合理的な疑いを容れない程度の証明(proof beyond a reasonable doubt)』が必要である。最高裁判所も,有罪認定に必要な立証の程度について『合理的な疑いを差し挟む余地のない』という表現を用いている(最決平成19・10・16刑集61巻7号677頁等)。」前掲酒巻471頁
(※4)「『利益原則』は,憲法31条の要請する『法の適正な手続』の構成要素を成す不文の法準則と位置付けられる。」前掲酒巻477頁
(※5)「民事訴訟では,実体法上の権利義務に関わる事実について,原告と被告のどちらに挙証責任があるとすべきかその分配につき多様な議論があるが,刑事訴訟は,国家刑罰権の存否と範囲の決定という人の基本的自由に関わる事実の認定を扱うことから,公訴事実及びこれに準ずる事項……については,原則としてすべて国家機関である検察官が挙証責任を負う。」前掲酒巻476頁
(※6)「実体法・手続法を問わず,特段の合憲的解釈が可能でない限り,刑事責任を基礎付ける事実について被告人側に挙証責任を負わせる機能を有する法規は,憲法31条に違反するものといわなければならない。」前掲酒巻477頁
(※7)「推定規定とは,法律により,一定の事実(前提事実)の存在が証明された場合に,別の事実(推定事実)の存在を推定する形式の法規をいう(『法律上の推定』)。元来は検察官が証明すべき事実を推定事実とし,別の前提事実を証明対象に設定する推定規定は,検察官にとって推定事実の証明を不要とし……,他方,被告人側が推定事実の不存在を証明できなければ,推定事実が認定されるという機能を果たすことになる。」前掲酒巻480頁
(※8)「推定事実が構成要件該当事実の一部である場合,もし被告人側がその不存在の立証に失敗したとき推定事実の存在を認定しなければならないとすれば,それは刑事責任の基礎となる事実が真偽不明であるにもかかわらず被告人に刑罰を科すことになるから,そのような解釈をとることはできない。そこで,有力な見解は,推定規定は,前提事実が証明され,これに対して被告人側が推定事実について反証できない場合に,裁判所に対し,推定事実を認定してよいとするにとどまり,認定を強制する効果を有するものではないと理解することにより,利益原則との抵触を回避しようとする。」「推定規定の効果を,裁判所は,前提事実の存在に加え,被告人が推定事実について反証できなかったという事実を併せ勘案し,推定事実について合理的な疑いを容れない程度の心証を得たとき,推定事実を認定することができるという意味に理解すれば,推定事実の挙証責任は検察官にあり被告人側に転換されているわけではないので,利益原則との抵触はない。」「そうすると,このような推定規定を設ける実際上の意義があるとすれば,それは,前提事実の存在からの推認だけでは推定事実の存在について合理的な疑いを容れない程度の心証が得られない場合に,裁判所に対し,被告人側から推定事実に対する合理的反証がないという間接証拠を付加することにより,その総合評価によって合理的な疑いを容れない程度の心証に到達する可能性を設ける法技術と位置付けることができよう。」前掲酒巻480頁
(※9)「このような合憲的解釈の前提として,個々の推定規定の内容の合理性が要請される。合理性の具体的指標として,第一,前提事実の存在から推定事実の存在を推認するのが合理的であること(合理的関連性)。第二,被告人側がそのような推認に反証し,推定事実不存在の証拠を提出するのが困難でないと認められること(反証の容易性),が挙げられている。いずれの要素も利益原則との抵触を回避するための必要条件といえよう。」前掲酒巻481頁
(※10)最判昭和50年4月24日判時774号119頁(ただし,通常の社交の範囲として職務関連性を否定したもの)


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
◎その他の答案リンク集はこちら→
2019-03-19(Tue)

【事例演習刑事訴訟法】第17講「科学的証拠」

さて,お待ちかね,【今日の一品】のコーナーですが,

今日の晩は例によって自炊で済ませてしまったので載せるものがありません。

その代わりに,昨日の晩にいただいたこちらを紹介します。

S__14426114.jpg

肉中華そばムタヒロの今月の限定メニュー「奈良県天理スタミナラーメン」でございます。

いわゆる「天スタ」っていうやつですね。

まあでも私は本場の天スタを食べたことがないので,

ムタヒロで頂くのが初めてということになります。

少しピリ辛のスープにたっぷりの野菜,

野菜も甘みがとても感じられていくらでも食べられます。

全体的にチゲ鍋みたいですね(全然違う)。

そんなような感覚でいただきました。

本場でも食べてみたいなと思いました。

少しでも気になった方は是非国立まで足を運んでみてください。

ところで今回は,古江の第17講です。

≪問題≫
省略


科学的証拠……!?

証拠能力を認めるための要件は何か……!?!?!?

全く馴染みのない分野な上に,この設問の聞かれ方……

どうやって答案を作成すればよいのでしょうかねえ……

っていうかそもそも要件は何なのか……

全然分かんない……

答案書きたくねえなあ……

≪答案≫
1 ある証拠を事実認定の資料として用いることができる法的適格(以下「証拠能力という。」)が認められるためには,当該証拠と証明すべき事実との間に論理的関係(以下「関連性」という。)(※1)があることが必要である(※2)
 ここで,証拠のうち,一定の事象・作用につき,通常の五感の認識を超える手段,方法を用いて認知・分析した判断結果(以下「科学的証拠」という。)(※3)を用いる場合には,事実認定者には,証拠の内容を直接認識・把握し,その正確性を実質的に評価することに困難が伴い,かつ,専門家の科学的判断ということから過度の信頼や客観的に確実であるとの誤信を生じさせやすい点が問題となる(※4)。そこで,科学的証拠の証拠能力を認めるためには,関連性とは別個に要件を必要とすべきとも思えるが,証拠の種類や性質によって科学性の持つ意味や程度はそれぞれ異なるから(※5),証拠の類型ごとにこれを判断すべきである。
2 まず,本件ではDNA型鑑定の結果の証拠能力が問題となっている。DNA型鑑定の結果の証拠能力について,判例は,科学的原理が理論的正確性を有し,具体的な実施の方法も,その技術を習得した者により,科学的に信頼される方法で行われたと認められることを指摘して,DNA型鑑定を証拠として用いることができるとしている(※6)。そこで,本判決において示された点が,関連性とは別個の要件を成すものであるかについて検討する。
 まず,本判例が科学的原理が理論的正確性を有しているとの部分について,検査・鑑定の基礎となる科学的原理が理論的正確性を欠いていたり,学問的に発展途上でいまだ確立していないことが明らかであれば,これに基づく検査・鑑定が正確で信頼するに足りる結論を導くとは考えられず,その証明力がおよそ認められないか,微弱であるから,関連性がないとして証拠能力が否定されるものと考えられる(※7)
 次に,本判決が具体的な実施方法について言及した部分について,具体的実施過程に欠陥が認められる場合にも,同様に,正確で信頼するに足りる結論に至るとは考えられないから,関連性なしとして証拠能力が否定されるものと考えられる(※8)
 以上から,本判決で示された点は,あくまで関連性の考慮事情になるものであるから,別途固有の要件を検討する必要性は乏しい。したがって,DNA型鑑定の証拠能力が認められるための要件は,関連性のみで足り,本判決が示した事項は関連性判断の考慮事項となる。
3 次に,本件では警察犬の臭気選別結果の証拠能力が問題となっている。警察犬の臭気選別が科学を利用したものとは言い難いため(※9),科学的証拠にはあたらないようにも思われるが,人間の五感を超えた犬の優れた嗅覚を利用する点において,なお科学的証拠ということができる。そして,警察犬の臭気選別は,臭気の実体,犬の嗅覚についての科学的解明が十分でなく,人の体臭に指紋同様の個別性があるという保障がない上に,結果の正確性に対する科学的検証・追試が不可能である等の問題があるにもかかわらず,犬に持来の理由を説明させることができないため,実際に何を識別根拠とし,どのような基準で対照臭を選別したのかを把握するのが困難である(※10)。したがって,これの証拠能力を認めるためには,関連性のほかに,別個の要件が必要ではないかとも思われる。
 この点について,判例は,専門的な知識と経験を有する指導手が,臭気選別に優れ,選別時において体調等も良好でその能力がよく保持されている警察犬を使用して実施したものであって,臭気の採取,保管の過程や臭気選別の方法に不適切な点がないことを指摘して,臭気選別の結果を有罪認定のように供することができるとしている(※11)。もっとも,個別具体的な信頼性に関する事情は,証明力の問題であると考えるべきであるから,選別時において体調等が良好であること,臭気選別方法に関する個別的な事情については,証明力に関する考慮事項であると考える。そして,その余の部分については,いずれも,定型的・類型的な信頼性に関する事情と位置付けることができ,これらのいずれかを欠く場合には,最小限度の証明力がなく,関連性なしとして証拠能力が否定されるものと考えられる。
 以上から,本判決で示された点は,あくまで関連性の考慮事情になるものであるから,別途固有の要件を検討する必要性は乏しい。したがって,警察犬の臭気選別の結果の証拠能力が認められるための要件は,関連性のみで足り,本判決が示した事項は関連性判断の考慮事項となる。

以 上


(※1)証拠の『関連性(relevancy)』とは,証拠価値のうち,証拠と証明すべき事実との間の論理的関係をいう……。『論理的関連性』,『自然的関連性』とも称される。」酒巻匡『刑事訴訟法』485頁
(※2)『証拠能力』とは,事実認定の資料として用いることができる証拠の法的適格をいう。証拠の『許容性(admissibility)』ともいわれる。公訴事実及びこれに準ずる事実を対象として『厳格な証明』においては,証拠能力のある証拠のみが許容される……。憲法・刑事訴訟法の条文ならびに不文法的規律として,刑事証拠法上の重要な準則群を形成している……。明文では,『証拠とすることが[は]できない』『証拠とすることができる』という文言で示されており,強制・拷問等による自白その他任意性に疑いのある自白(憲法38条2項,法319条1項・322条1項)に関する規律や,いわゆる『伝聞証拠』(法320条1項)に関する規律がその例である。不文の準則としては,『関連性』及び『違法収集証拠排除法則』が挙げられる。」前掲酒巻483頁
(※3)東京高判平成8年5月9日判時1585号139頁は,「一定の事象・作用につき、通常の五感の認識を超える手段、方法を用いて認知・分析した判断結果が、刑事裁判で証拠として許容されるためには、その認知・分析の基礎原理に科学的証拠があり、かつ、その手段、方法が妥当で、定型的に信頼性のあるものでなければならない。」と述べており,「一定の事象・作用につき、通常の五感の認識を超える手段、方法を用いて認知・分析した判断結果」と「科学的証拠」とを区別して用いているようにみえますが,解説234頁では,「一定の事象・作用につき、通常の五感の認識を超える手段、方法を用いて認知・分析した判断結果」を「科学的証拠」の定義として用いているようですので,これに従います。
(※4)「『科学的証拠』の成果を利用した……事例に現れた証拠には,以下のような共通の特色が認められる。」「第一,いずれも当該証拠がこれに関する専門的知見や技能を有する者によって提供されたものであること,すなわち,事実認定者の知識・経験を補充するため特別の専門的知識・経験(鑑定)が利用されていること。」「第二,第一の一側面であるが,事実認定者には,証拠の内容を直接認識・把握し,その正確性を実質的に評価することに困難が伴うであろうこと。」「第三,このため『専門家』の判定であること,とりわけそれが『科学』の成果である場合には,事実認定者に専門性に対する過度の信頼や客観的に確実であるとの誤信を生じさせやすい側面があること。」前掲酒巻492頁
(※5)「科学的証拠といわれる証拠の『科学性』が問われる場面は,⑴基礎となる科学的原理・知見の信頼性,⑵科学的原理・知見を実用化する理論・技術の信頼性,⑶具体的な検査に関する信頼性(㋐試料化の信頼性,㋑具体的検査方法,過程の的確性),⑷検査者の技術水準,技量,⑸検査結果の評価に関する信頼性(㋐評価に関する原理,基準の信頼性,㋑当該ケースへのあてはめの信頼性)の5段階・7項目に分類できる……。証拠の酒類・性質によって『科学性』の持つ意味や程度はそれぞれ異なるから,どの段階がどのような点から問題になっているのかを分析・検討して明確にし,当該証拠の採否判断に適した審理等を行うためにも,このような分類を用いることは非常に有益と思われる。」井上正仁ほか『刑事訴訟法判例百選〔第10版〕』149頁
(※6)「本件で証拠の一つとして採用されたいわゆるMCT118DNA型鑑定は、その科学的原理が理論的正確性を有し、具体的な実施の方法も、その技術を習得した者により、科学的に信頼される方法で行われたと認められる。したがって、右鑑定の証拠価値については、その後の科学技術の発展により新たに解明された事項等も加味して慎重に検討されるべきであるが、なお、これを証拠として用いることが許されるとした原判断は相当である。」最決平成12年7月17日刑集54巻6号550頁
(※7)「この[前掲最決平成12年7月17日の]説示に現れた証拠能力に関係する事柄を,証拠の関連性の枠組みで整理すれば,次のようになろう。」「第一,検査・鑑定の基礎となる科学的原理が理論的正確性を欠いたり,学問的に発展途上でいまだ確立していないことが明らかであれば,これに基づく検査・鑑定が正確で信頼するに足りる結論を導くとは考えられず,その証明力がおよそ認められないか,微弱であるから,『関連性』がないとして証拠能力が否定されるであろう。なお,わが国では将来も実例は乏しいと思われるが,『科学』の衣を纏ってはいるものの,およそ『科学的原理』の基礎が認められない『似非科学(junk science)』は,証明力欠如すなわち関連性なしとして証拠能力が否定される。」前掲酒巻493頁
(※8)「第二,検査・鑑定の基礎とされた科学的原理が理論的正確性を有し一般的に信頼性が認められる場合であっても,当該事案における具体的な実施方法・検査実施者の技能・検査対象とされた検体の保全管理等,具体的実施過程に欠陥が認められる場合には,同様に,正確で信頼するに足りる結論に至るとは考えられず,やはり関連性が認められないことになろう。」前掲酒巻493頁
(※9)「警察犬による臭気選別や伝統的筆記鑑定は,いわゆる『科学』の成果を利用したものとは言い難い」前掲酒巻492頁
(※10)「臭気選別については,①臭気の実体,犬の嗅覚についての科学的解明が十分でない,②人の体臭に指紋同様の個別性があるという保障がない,③犬には指導手に対する迎合性がある,④結果の正確性に対する科学的検証・追試が不可能であることが指摘されており……,そのこと自体に異論はない。これらが意味するのは,すなわち,犬に持来の理由を説明させることができないため,実際に何を識別根拠とし(真に体臭の個人差を嗅ぎ分けたのか別の要因によるのか,あるいは指導手・立会人への迎合〔いわゆる『クレバー・ハンス現象』か〕),またどのような基準で対照臭を選別したのか(同じと判断したのか,強いて選んだという程度か)を把握するのが難しいということである。臭気選別には性質上これらの難点があるため,その結果の証拠能力,証明力が問題となる。」前掲井上ほか152頁
(※11)「警察犬による本件各臭気選別の結果を有罪認定の用に供した原判決の当否について検討するに、記録によると、右の各臭気選別は、右選別につき専門的な知識と経験を有する指導手が、臭気選別能力が優れ選別時において体調等も良好でその能力がよく保持されている警察犬を使用して実施したものであるとともに、臭気の採取、保管の過程や臭気選別の方法に不適切な点のないことが認められるから、本件各臭気選別の結果を有罪認定の用に供しうるとした原判断は正当である」最決昭和62年3月3日刑集41巻2号60頁


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
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2019-03-19(Tue)

【事例演習刑事訴訟法】第16講「訴因変更の可否」

さて,ニート初日は,長時間の睡眠をとり,

15時くらいになってようやく布団からでるという,

ニートの鏡のような生活を送りました。

大学に来てからも,研究室で雑談をし,一向に勉強を始めない,

これはもうカリスマ的ニートと言ってよいでしょう。

そんなニート1発目の論文は,古江の第16講から。

≪問題≫
省略


訴因変更の可否っていうところですね。

1個の犯罪は1回しか処罰しちゃだめだよ,

という基本的な方針さえ忘れなければ,

大きく外れた答案を書くことにはならないのだろうと思います。

採用する見解にもよるのでしょうが,

総合考慮の際に,事実をなるべく落とさないように心がけたいです。

≪答案≫
1 検察官は,裁判所に対して,過失運転致死罪の訴因(以下「本件変更前訴因」という。)を犯人隠避罪の訴因(以下「本件変更後訴因」という。)へ変更する許可を請求している。訴因の変更は,「公訴事実の同一性を害しない限度において」することができる(刑訴法312条1項)から,裁判所は,検察官の前記請求を許可するか否かを判断するについては,本件変更前訴因と本件変更後訴因とが「公訴事実の同一性を害しない限度」にあるか否かを検討する必要がある。そこで,この点について検討する。
2 「公訴事実の同一性を害しない限度」とはいかなる場合をいうかについて検討する。
 刑訴法312条1項が「公訴事実の同一性を害しない限度において」訴因変更を可能としたのは,二重起訴の禁止(同法338条3号,339条1項5号)や一事不再理効による再訴禁止(同法337条1号)と併せて,刑事手続による刑罰権の具体的実現に際して,二つ以上の有罪判決が併存し二重処罰の実質が生じるのを回避するためである(※1)。そこで,「公訴事実の同一性を害しない限度」とは,実体法上刑罰権が一個しか生じない範囲(※2),すなわち,両訴因に記載されている罪となるべき事実が実体法上一罪と扱われる関係にある場合(※3),又は,両訴因の基本的事実が社会通念上同一である場合である(※4)(※5)
3 これを本件についてみると,本件変更前訴因の過失運転致死罪と本件変更後訴因の犯人隠避罪とは,併合罪(刑法45条)の関係にあり,両訴因に記載されている罪となるべき事実が実体法上一罪と扱われる関係にはない。
 また,犯罪の日時は,本件変更後の訴因に係る犯罪は本件変更前訴因に係る犯罪の翌日にされて,その場所も,事故現場と警察署で異なっている。犯罪の方法については,本件変更前訴因では自動車を前方不注意のまま運転してというものであり,本件変更後訴因では真実は本件変更前訴因に係る犯罪を犯していないのにこれを犯したものとして身代わりに出頭し真犯人を隠避するというものであるから,全く異なるものである。被害法益も,本件変更前訴因に係る犯罪では人の生命・身体であるのに対し,本件変更後訴因に係る犯罪では国家の刑罰権の適正な行使であって,この点でも両者は異にするものである。被害者も,本件変更前訴因では歩行者Vであるところ,本件変更後訴因では刑事司法作用を行使する警察であるから,両者に共通性見いだすことはできない。以上からすると,本件変更前訴因と本件変更後訴因とでは,基本的事実が社会通念上同一であるということはできない。
 したがって,本件変更前訴因と本件変更後訴因とは,「公訴事実の同一性を害しない限度」にあるということはできない。
4 よって,裁判所は,検察官の請求する訴因の変更を許可すべきではない。

以 上


(※1)「法が訴因変更に限界を設定している趣旨・目的は,刑事手続による刑罰権(実体法)の具体的実現に際して,別訴で二つ以上の有罪判決が併存し二重処罰の実質が生じるのを回避することにある。『公訴事実の同一性』とは,このような目的のための道具概念として理解することができる。」酒巻匡『刑事訴訟法』298頁
(※2)「刑事手続の目的は,刑罰法令に該当する『罪となるべき事実』に対して,刑罰権を具体的に実現することにある(法1条)。仮に一つの刑罰権の対象となるはずの事実について,別訴が併存し二つ以上の有罪判決が重複して生じる可能性があれば,二重処罰のおそれがあり不都合である。一つの刑罰権については一つの有罪判決が対応してこれを1回だけ具体的に実現すべきであり,実質的な二重処罰状態の発生を防ぐためには,そのような可能性を生じる訴因を別訴で主張すること自体を許さないとすることが,合理的な方策である。そのためには,併存すれば二重処罰の実質を持つような両立し得ない関係にある訴因間においては別訴を許さず,当該訴訟手続において訴因の変更により処理することが要請される。」「すなわち,1回の刑事手続により一度だけ処罰すれば足りるという意味で両立し得ない関係にある訴因の間では訴因の変更を認め,当該訴訟手続内で訴追意思の実現をはからなければならない。他方,複数の有罪判決が併存しても二重処罰にならない関係にある事実に対する刑罰権の実現は,別訴に拠らなければならない。こうすることにより,手続の安定と実体法の具体的適用実現という刑事手続の目的が,適切に遂行できる。」前掲酒巻298頁
(※3)「『公訴事実の同一性』とは,訴因と訴因とが1回の刑事手続内でにおいてどちらか一方で一度だけ処罰すれば足りる両立し得ない関係にあり,別訴に拠り2つ以上の有罪判決が併存すれば二重処罰の実質を生じるような場合の訴因間の関係を意味するとかいすべきである。これには二つの類型がある。」「その第一は,両訴因間に記載されている罪となるべき事実が実体法上一罪(単純一罪のほか,包括一罪,科刑上一罪等を含む)と扱われる関係にある場合である。」前掲酒巻299頁
(※4)「判例は,一貫して,公訴事実が同一であるか否かは社会的事実の重なり合いによって判断されるとする基本的事実同一説を採用している。既判力の及ぶ範囲と防御の範囲を中心とした利益の調整の上に立って,1回の裁判で裁き得る範囲を実質的に判断する以上,事実の共通性(日時,場所,行為,結果等の共通性・近似性等)によって具体的に判断せざるを得ないからである。」池田修=前田雅英『刑事訴訟法講義〔第4版〕』307頁
(※5)「別訴で同時に有罪とした場合に二重処罰の実質が生じるのを回避するという制度趣旨から,1回の手続でどこまで片付くことにすべきか,罪となるべき事実の各構成要素,すなわち犯罪主体としての被告人のほか,犯罪の日時,犯罪の場所,犯罪の方法ないし行為の態様,被害法益の内容,その主体としての被害者,共犯関係などの一致,類似,近接,包含等の関係を総合的に評価し,検察官と被告人との間の対立利益を比較考量して決定される価値的な判断というほかはない(「総合評価説」)。」前掲酒巻300頁


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
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2019-03-18(Mon)

【事例演習刑事訴訟法】第15講「訴因変更の要否」

本日をもって,ローを修了しました!!!!!

終わってしまってから思うのは,

入学前に思っていたよりかはロー生活は大変ではなかったということですね。

なんというか,周囲に恵まれた部分はかなり大きかったと思います。

感謝の念が絶えません。

あと,学位記ももらうことができました。

S__14401538.jpg

色盲なんで(割とガチ)よく分からないですけど,

ワインレッドっぽい?かっこいい学位記をいただけました。

修了式とかいろいろやって,なんとなくの雰囲気はできていましたが,

やっぱりあと2ヶ月は同じ場所に通い続けるわけで,

修了したとかどうとか関係ないなあというのが正直なところです。

残りの期間も頑張りたいです。

ところで,今回は,古江の第15講です。

≪問題≫
省略


訴因変更の要否っていうやつですね。

平成13年の判例については最低限理解しておかないと手も足も出ないことになってしまいそうです。

しかし,本問では,いわゆる2段階目の部分については,あてはめで触れずに終わってしまいそうです。

こんなときにも,2段階目の規範を長々と書いた方がいいのでしょうか。

悩みどころです。

本問では,おまけみたいな感じで縮小認定についても触れられています。

包摂関係ってよく分かんないですよね。

≪答案≫
1 検察官が主張する訴因(以下「本件訴因」という。)は,被告人と甲とが共謀して百貨店に侵入し宝石を窃取したという建造物侵入・窃盗の共同正犯であるのに対し,裁判所が認定しようとする事実は,被告人は甲が百貨店に侵入し宝石を窃取することを容易にしたという建造物侵入・窃盗の幇助犯である。そこで,裁判所が本件訴因と異なる事実を認定しようとするにあたり,訴因変更手続を経る必要があるかどうかについて検討する。
2⑴ 刑訴法は,当事者主義を採用しているため(256条6項,298条1項,312条1項),裁判所の審判対象は検察官が主張する「罪となるべき事実」の具体的主張である訴因であるところ,その機能は,裁判所に対し審判対象を画定する点にあり,その反射効として,被告人に防御範囲を明示する役割を果たす。したがって,裁判所の審判対象の画定に必要不可欠な事実,すなわち,被告人の行為が特定の犯罪構成要件に該当するかどうかを判定するに足る具体的事実,及び他の犯罪事実と区別するに足る事実に変更がある場合には訴因変更手続が必要になる。
 また,訴因事実と異なる認定事実が一般的に被告人の防御にとって重要な事項であるときは,争点明確化による不意打ち防止の要請に基づく措置がとられるべきであるから,検察官が訴因においてこれを明示した場合には,原則として,訴因変更手続を要する。もっとも,被告人の防御の具体的な状況等の審理の経過に照らし,被告人に不意打ちを与えるものではないと認められ,かつ判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には,例外的に,訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる事実を認定することができる(※1)
 ⑵ これを本件についてみると,本件訴因と裁判所の認定する事実とでは,建造物侵入・窃盗について,共同正犯か幇助かの相違があるが,両者は刑法上の構成要件をその特殊性に鑑みて修正したものであるから,別個の構成要件を成すものである。そうすると,被告人の行為が特定の犯罪構成要件に該当するかどうかを判定するに足る具体的事実に係るものである。したがって,この点について本件訴因と異なる認定をするにあたっては,訴因変更の手続を経る必要があるように思われる。
3⑴ もっとも,裁判所が認定しようとする事実は,本件訴因において主張されている事実に包摂されているものとみて,訴因変更手続を経ることなく裁判所が前記事実を認定することができないか。
 ⑵ 裁判所が認定しようとする事実が訴因において主張されている事実に包摂されている場合には,検察官は,裁判所が認定しようとする事実についても黙示的・予備的に主張しているものとみることができる。そうすると,当該事実を認定しても,裁判所は検察官の主張していない事実を認定することにはならない。したがって,両事実が前記のような関係にある場合には,裁判所が当該事実を認定するにあたっては,訴因変更手続を経る必要がないというべきである(※2)
 ⑶ これを本件についてみると,共同正犯と幇助との構成要件自体を比較したときには,両者は正犯性の有無が異なるのみであって,後者は前者に包摂されているようにも思える。
 しかし,幇助犯の訴因は,幇助に当たる具体的事実の記載が必要とされているので,「共謀の上」との事実が,考えられるあらゆる幇助の態様を黙示的・予備的に主張しているとみることは想定し難い。したがって,裁判所の認定しようとする事実は,本件訴因に係る事実に包摂されているということはできない。
4 よって,裁判所が建造物侵入・窃盗の幇助の事実を認定するためには,訴因変更手続を経ることが必要である。

以 上


(※1)「訴因と認定事実とを対比すると、前記のとおり、犯行の態様と結果に実質的な差異がない上、共謀をした共犯者の範囲にも変わりはなく、そのうちのだれが実行行為者であるかという点が異なるのみである。そもそも、殺人罪の共同正犯の訴因としては、その実行行為者がだれであるかが明示されていないからといって、それだけで直ちに訴因の記載として罪となるべき事実の特定に欠けるものとはいえないと考えられるから、訴因において実行行為者が明示された場合にそれと異なる認定をするとしても、審判対象の画定という見地からは、訴因変更が必要となるとはいえないものと解される。とはいえ、実行行為者がだれであるかは、一般的に、被告人の防御にとって重要な事項であるから、当該訴因の成否について争いがある場合等においては、争点の明確化などのため、検察官において実行行為者を明示するのが望ましいということができ、検察官が訴因においてその実行行為者の明示をした以上、判決においてそれと実質的に異なる認定をするには、原則として、訴因変更手続を要するものと解するのが相当である。しかしながら、実行行為者の明示は、前記のとおり訴因の記載として不可欠な事項ではないから、少なくとも、被告人の防御の具体的な状況等の審理の経過に照らし、被告人に不意打ちを与えるものではないと認められ、かつ、判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には、例外的に、訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる実行行為者を認定することも違法ではないものと解すべきである。」最決平成13年4月11日刑集55巻3号127頁
(※2)「訴因変更の要否に関して,いわゆる『縮小認定』に当たる場合には,訴因変更を要しないと解されてきた。かつて最高裁判所の判例は,防禦上の不利益の観点から,訴因制度は『裁判所が勝手に,訴因又は罰条を異にした事実を認定することに因って,被告人に不当な不意打を加え,その防禦権の行使を徒労に終らしめることを防止するに在るから,かかる虞れのない場合,例えば,強盗の起訴に対し恐喝を認定する場合の如く,裁判所がその態様及び限度において訴因たる事実よりもいわば縮小された事実を認定するについては,敢えて訴因罰条の変更手続を経る必要がないものと解する』と説示していた(最判昭和26・6・15刑集5巻7号1277頁。このほか,殺人未遂の訴因で傷害を認定した場合について,最判昭和29・8・24刑集8巻8号1392頁など)。このような帰結を,審判対象の画定という見地から説明すれば,次のようになろう。」「前記のとおり,審判対象の画定という見地からは,訴因変更は,検察官が当初設定した訴因の記載と,『罪となるべき事実』の特定に不可欠な事項において差異があり,実質的に異なる事実を認定する場合に必要となる。そこで,縮小認定される事実は,審判対象として実質的に『異なる』のかどうかが問題である。例えば,強盗の要件事実たる反抗を抑圧するに足りる強度の暴行脅迫は認定できず,被害者を畏怖させたにとどまるとの心証を得た場合,罪となるべき事実の特定に不可欠な部分に差異があるように見える。」「しかし,当初の訴因の記載に含まれていた一部事実を別の罪となるべき事実として認定する場合とは,当初の検察官主張事実に対して一部消極の判断をするのであり,検察官の主張の枠外にある別個固有の事実を積極的に認定するのではない。認定される縮小犯罪事実は,当初から検察官により黙示的・予備的に併せ主張されていた罪となるべき事実とみることができるから,縮小認定は,訴因の記載と『異なる』事実認定の問題ではなく,訴因の記載どおりの認定の一態様である。したがって,一般には,検察官の設定構成した当初の訴因の拘束力と訴追意思を逸脱したものではないから,訴因変更の問題は生じないというべきである。」酒巻匡『刑事訴訟法』296頁


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・ 第2講(職務質問・所持品検査)
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・ 第17講(科学的証拠)
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・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
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・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
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・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
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・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
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2019-03-18(Mon)

【事例演習刑事訴訟法】第14講「訴因の特定」

今日は修了式です。

一橋ローは今年も約80人のニートをこの世に放出する偉業を達成することになります。

この,司法試験受験生は学部予備合格者とかでない限り,原則無職にならざるを得ないという制度設計,

どう考えてもおかしくないですか???

いやいやいや,在学中に試験受けさせてくれよって思います。

本当にもうね,これだから(以下検閲により削除)。

≪問題≫
省略


訴因の特定は,色々な論点がありますが,

それぞれどの要件レベルの話に位置付けられるのかを意識しないと,

大変なことになりそうです。

私はまさに今大変なことになっています。

≪答案≫
1 検察官は,裁判所に対し訴因変更の許可を請求しているが,XおよびYの弁護人は,訴因が不特定であることを理由として訴因変更の許可をすべきでないとしている。仮に弁護人が主張するように,変更後の訴因が不特定である場合には,不特定訴因への変更は許されないことから,裁判所は訴因変更を許可すべきでないこととなる。
 そこで,検察官の請求する変更後の訴因が特定されたものであるといえるかどうかについて検討する。
2⑴ 前提として,訴因が特定されているといえるための基準について検討する。
 訴因とは,検察官が裁判所に対して審判を求める「罪となるべき事実」の具体的な主張をいう(※1)ところ,その機能は,裁判所に対し審判対象を画定する点にあり,その反射効として,被告人に防御範囲を明示する役割を果たす(※2)。したがって,訴因が特定されているか否かは,審判対象を画定するために必要な程度の特定がされているかどうかによって決せられる。具体的には,被告人の行為が特定の犯罪構成要件に該当するかどうかを判定するに足る程度に具体的事実を明らかにし,かつ,他の犯罪事実と区別できるのであれば,訴因は特定されているということができる(※3)
 ⑵ これを本件についてみると,検察官が請求した変更後の訴因は,「……等に手段不明の暴行を加え,……等の傷害を負わせ,……何らかの傷害により死亡させた」との記載がなされており,言い換えれば,「Vの身体のいずれかの部位に何らかの暴行を加えて,何らかの傷害を負わせ,何らかの傷害により死亡させた」という内容を含むものであり,傷害致死罪の犯罪構成要件を記載したにすぎず,構成要件に該当する具体的な事実が記載されていないようにも思われる。しかし,当該訴因では,被害者がVと特定され,犯行の日時・場所が具体的に記載され,結果としてVが死亡していることが指摘された上で,暴行の部位として「頭部」,Vが負った傷害として「頭蓋底骨折」,死因として「外傷性脳障害」が記載されているのであるから,前記のように概括的な記載がされているにしても,これらの具体的記載と相まって,Yの行為が傷害致死罪の構成要件に該当するものであると認識することができる。したがって,当該訴因には,被告人の行為が特定の犯罪構成要件に該当するかどうかを判定するに足る程度に具体的事実が明らかにされているということができる(※4)(※5)
 また,被害者が死亡するという結果は1回しか生じ得ない以上,被害者を死亡させる行為も1回しかないというべきであり,そのような結果の特殊性があることに加えて,犯行の日時・場所,被害者について具体的な記述がされているのであるから,他の犯罪事実と区別できる程度に記載されているということができる。
 したがって,検察官が請求する変更後の訴因は特定されたものであるといえる。
3⑴ 刑訴法256条3項後段は,できる限り日時,場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定することを要求しているため,検察官が請求する変更後の訴因がこの要請を満たしているかは別途問題となる。
 もっとも,刑訴法256条3項後段は,犯罪の日時,場所及び方法は,これらの事項が,犯罪を構成する要素になっている場合を除き,本来は,罪となるべき事実そのものではなく,ただ訴因を特定する一手段として,できる限り具体的に表示すべきことを要請しているにすぎないのであるから,これを詳らかにすることができない特殊事情がある場合には,前記の訴因の特定の目的を害さない限り,幅のある表示をしても,訴因の特定性に係る違法があるということはできない(※6)
 ⑵ これを本件についてみると,Yに対する取調べにより,訴因の日時・場所においてVに対し致死的な暴行が加えられたことは明らかであるが,Yは,Vに対して加えた暴行の態様や箇所について供述を何度も翻しており,また正確な死因についても専門家の鑑定を経ても明らかとならず,不明瞭な領域が残ったというのある。そうすると,検察官において,暴行態様,傷害の内容,死因について概括的に記載したことはやむを得なかったのであるから,これらを詳らかにすることができない特殊事情があったというべきである(※7)。また,このような記載であっても,Yらは,犯行現場に行っていないとか,暴行は行っていないといった弁解と,それに対応する弁護方針を立てることができる以上,訴因の特定の目的の反射効となる被告人に対する防御範囲の明示に欠けるところはない。
 したがって,検察官が請求した変更後の訴因は,刑訴法256条3項後段の要請に反しない。
4 よって,検察官が請求した変更後の訴因は,特定のとして必要十分であるから,裁判所はこれを許可すべきである。

以 上


(※1)「起訴状に記載すべき『公訴事実』(法256条2項2号)すなわち刑事訴訟における審理・判決の対象(審判対象)し,検察官が明示する『訴因』である(法256条3項前段)。『訴因』とは,検察官が裁判所に対して審判を求める『罪となるべき事実』の具体的な主張をいう。」酒巻匡『刑事訴訟法』266頁
(※2)「審判対象たる訴因は,『できる限り日時,場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定して』明示しなければならない(法256条3項)。『特定』とは,他の異なる事実の主張と区別して画定することをいう。他の事実の主張と区別ができなければ,裁判所が審判対象を識別・認識することができず,証拠調べの手続段階へと審理を進行させることができないからである。また,前訴との関係で一事不再理の効力が及ぶ範囲,二重起訴禁止の範囲……,公訴時効停止の効力が及ぶ事件の範囲……を画定することもできず不都合である。」「他方,訴因の記載は,被告人の防禦対象でもあるから,他の事実の主張との区別が不分明ではおよそ一般的に防禦が不可能である。もっとも,被告人の具体的な防禦上の利益に対する配慮は,起訴に引き続く手続の進行過程に応じて様々な局面で制度化されている(例,公判前整理手続が実施される場合の『証明予定事実記載書面』の提出[法316条の13],起訴状に対する求釈明[規則208条],検察官の冒頭陳述[法296条],審理の過程における争点の顕在化・防禦の機会付与による不意打ち防止等)。」「この点を考慮すれば,起訴状における訴因明示の第1次的機能は,裁判所が実体審理を進めることができる程度に審判対象を他と区別し画定することにあるとみるべきである。訴因の明示は,この機能を果たすのに必要・十分な程度の具体的記載であれば足りる。被告人の防禦上の利益は,審判対象が他の事実と区別して画定されることによりその反射効として一般的防禦目標が呈示され,引き続く手続段階において具体的に考慮・勘案されることになる。」前掲酒巻274頁
(※3)解説202-203頁
(※4)「識別説によれば,犯罪の種類,性質等により証拠によって明らかにし得る事実に限界があるなどの事情のため,検察官が,犯罪事実を表示するに当たり,日時,場所,方法や構成要件要素の一部につき概括的な表示にとどめざるを得なかった場合であっても,概括的に表示された部分と明確に表示された部分とが相まって,被告人の行為が当該犯罪の構成要件に該当するものであると認識することができ,他の犯罪事実と区別できる程度に特定されているのであれば,検察官はできる限り訴因を特定したものと評価してよいことになろう。」最判解刑事篇平成14年度149頁
(※5)傷害致死罪の事案について,「傷害の内容や因果関係は,構成要件要素であるから,原則としては具体的に表示すべきであって,安易に概括的な表示をすることは許されないであろう(ただし,傷害罪における『傷害』が犯行の結果そのものであるのに対し,傷害致死罪における『傷害』は,死に至るまでの因果の一過程としての性質が強く,相対的に重要度が低いといえよう。)。しかし,事案によっては,検察官において,傷害の内容等につき概括的な表示しかできない場合もあると思われるが,そのような場合には,被害者の表示や犯行の日時・場所・方法・結果(被害者の死亡)の表示と相まって,被告人の行為が傷害致死罪の構成要件に該当するものであると認識することができれば,訴因の特定に欠けるところはないと考えられる(被害者を死亡させるという行為は1回しかあり得ないから,他の犯罪事実との区別という点は問題にならないであろう。)。」前掲最判解刑事篇平成14年度153頁
(※6)「刑訴256条3項において、公訴事実は訴因を明示してこれを記載しなければならない、訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならないと規定する所以のものは、裁判所に対し審判の対象を限定するとともに、被告人に対し防禦の範囲を示すことを目的とするものと解されるところ、犯罪の日時、場所及び方法は、これら事項が、犯罪を構成する要素になつている場合を除き、本来は、罪となるべき事実そのものではなく、ただ訴因を特定する一手段として、できる限り具体的に表示すべきことを要請されているのであるから、犯罪の種類、性質等の如何により、これを詳らかにすることができない特殊事情がある場合には、前記法の目的を害さないかぎりの幅のある表示をしても、その一事のみを以て、罪となるべき事実を特定しない違法があるということはできない。」最判昭和37年11月28日刑集16巻11号1633頁
(※7)「原判決によれば,訴因変更請求時までに第1審及び原審で取り調べられた証拠により,第1次予備的訴因の日時・場所において被害者に対し致死的な暴行が加えられたことは,明らかであったが,暴行態様や傷害の内容,死因については十分な供述や鑑定結果が得られず,不明瞭な領域が残ったというのであるから,検察官が暴行態様,傷害の内容,死因,因果関係を第1次予備的訴因のように概括的に表示したことは,やむを得なかったといえよう。上記の事情は,前掲白山丸事件判決にいう『犯罪の種類,性質等の如何により,これ(筆者注・犯行の方法等)を詳らかにすることができない特殊事情がある場合』に当たると解される。」前掲最判解平成14年度154頁


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
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2019-03-17(Sun)

【事例演習刑事訴訟法】第13講「一罪の一部起訴」

明日,ローの修了式的なものがあるらしいです。

いや,2年間のロー生活も終わるんだなあと感慨深いものがあります。

とはいえ,明後日以降も普通にローに通って勉強し続ける日々は続くわけなので,

本当に通過儀礼というか,流れ作業的な意味合いしかない修了式となりそうです。

さて,今回は古江の第13講です。

≪問題≫

【設 問】
 ⑴ 被告人は,老齢のVから委託されてV所有の土地の権利証,実印を預かり保管していたが,自己の経営するA株式会社の資金繰りに窮したため,A株式会社が金融機関から融資を受けるに際して,Vの了解を得ることなく,Vの上記土地につき,A会社を債務者として債権額5000万円の抵当権を設定し,その旨の登記を了した。さらに,被告人は,Vに無断で,上記土地を1億円で売却し,その旨の登記を了し,代金はA株式会社の資金繰りに充てた。検察官は,被告人を,上記土地を売却してこれを横領したとして,横領罪により公訴提起した。被告人は,公判で,上記土地については抵当権を設定し,登記を了したことにより横領罪が成立しているので,売却行為はその不可罰的事後行為であって犯罪は成立しないと主張した。裁判所は,売却行為に先立って抵当権設定行為があったかどうかについて審理判断すべきか。
 ⑵ 検察官は,強姦被疑事件について,公訴提起に足る嫌疑が認められたが,被害者の告訴が得られなかったことから,被告人を強姦罪の手段である暴行罪で公訴提起した。これに対し,被告人は,本件暴行は強姦罪の一部(一罪の一部)であって,告訴がないので公訴棄却判決がなされるべきである旨主張した。裁判所は,本件暴行が強姦罪の一部であるかどうか審理判断すべきか。


一罪の一部起訴。

もぅ無理(早い)

≪答案≫
第1 設問⑴
 1 裁判所は,被告人がV所有の土地の売却行為(以下「本件売却行為」という。)に先立って同土地に抵当権設定行為(以下「本件抵当権設定行為」という。)をしたと主張する事実に立ち入って審理判断することはできるか。
 2 当事者主義を採用している刑訴法の下では,審判対象は検察官が主張する具体的犯罪事実である訴因であり,裁判所が審理判断することができるのは,訴因の範囲に係る事実に限定されるべきである。したがって,裁判所は,原則として訴因外の事実に立ち入って審理判断することは許されない。
 もっとも,訴因外の事実が訴因に係る犯罪の成立を否定する事実や公訴提起を無効とする事実である場合には,実質的には訴因内の事実ということができるから,例外的に裁判所はこれらの事実に立ち入って審理判断することができる。
 3 これを本件についてみると,検察官が設定した訴因は本件売却行為についての横領罪であって,本件抵当権設定行為は訴因外の事実である。そのため,裁判所は,原則として,本件抵当権設定行為について立ち入って審理することはできない。
 もっとも,本件抵当権設定行為についても横領罪が成立するところ,ここでの横領罪の成立により,本件売却行為が不可罰的事後行為となって横領罪の成否に影響を与えるのであれば,訴因に係る犯罪の成立を否定する事実であるとして,実質的に訴因内の事実として扱われるから,裁判所は例外的に本件抵当権設定行為についても審理判断することができる。
 しかし,横領罪の保護法益は,委託された物の所有権であるところ,抵当権が設定された段階では,将来抵当権が実行されることにより所有権を失うおそれが生じるという程度での所有権の侵害がされるにすぎないが,売却がされた場合には確定的に所有権を失うこととなるから,両行為の所有権侵害の程度は異なるのであって,質的に別個に処罰される行為であるといえる。したがって,抵当権設定行為がされた後に売却行為がされた場合であっても,売却行為について別途横領罪が成立するのであるから,両行為の関係は共罰的事後行為とみるべきである。この場合には,抵当権設定行為に横領罪が成立することが,売却行為に横領罪が成立することを否定するものではない。
 また,検察官は,事案の軽重,立証の難易度等諸般の事情を考慮し,後行行為をとらえて公訴を提起することができるのであるから,本件売却行為についてのみ起訴したことは,検察官の裁量権を逸脱濫用するものではない。したがって,本件抵当権設定行為は,検察官のした本件売却行為についての公訴提起を無効とする事実でもない。
 したがって,本件でも,裁判所は,原則通り,本件抵当権設定行為に立ち入って審理判断することはできない。
第2 設問⑵
 1 裁判官は,本件暴行が強姦罪の一部であるかどうかを審理判断することはできるか。前提として,検察官は,強姦被疑事件について被害者の告訴が得られていないのにもかかわらず,その一部である暴行罪の部分を基礎することはできるか。
 2 刑訴法248条は,起訴便宜主義を採用し,検察官は犯罪の全部について起訴しないことも許されるのであるから,一部について起訴しないこととし,その余を起訴するという取扱いも原則として許される。
 もっとも,一罪の一部起訴が許されるのは,検察官の訴追裁量が認められた結果であるから,検察官に認められた裁量の範囲内においてのみそのような取扱いをすることができるにすぎず,一罪の一部起訴が裁量権を逸脱するような不合理な場合には,そのような取扱いをすることは許されない。
 3 これを本件についてみると,強姦罪は親告罪とされているが,その趣旨は,被害者の名誉感情を保護する点にある。ここで,本件のように強姦罪のうち暴行の部分のみを起訴したとしても,その審理を行う上では,暴行の態様や暴行の目的・動機の審理の過程において,姦淫の事実が明らかとなるおそれがある。そうすると,強姦罪が親告罪とされた趣旨が没却されることとなる。したがって,本件暴行の起訴は,強姦罪が親告罪とされた趣旨を没却するような一部起訴であって,検察官に認められた訴追裁量権の範囲を逸脱するものであるから,許されない。
 4 ここで,裁判所としては,検察官の起訴が許されないものとして,公訴棄却判決をすべきであるとも考えられる。しかし,公訴棄却の判決を導くために被告人は本件暴行が強姦罪の一部であることを主張せざるを得なくなり,被害者の名誉感情が結局のところ害されることとなる。それにもかかわらず,被告人に対しては罪を問えなくなり,妥当性を欠く結論となる。
 そこで,一罪の一部起訴が許されないことは,あくまで検察官の行為規範にとどまるというべきであり,これに違反しても起訴が無効になるものではなく,裁判所は公訴棄却判決をすべきではない。したがって,裁判所は,本件暴行が強姦罪の一部であるかどうか審理判断すべきではない。

以 上


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
◎その他の答案リンク集はこちら→
2019-03-17(Sun)

【事例演習刑事訴訟法】第12講「接見交通」

さてさて,【今日の一品】のコーナーですが,

本日は自宅で自炊をキメたため,

早くも2日目にしてお休みです。

ちなみに,豚肉をただただ焼いて,豚丼のタレをかけて食べただけです。

とても質素ですね。

ちなみに,こちらの豚肉はSEIYUで389円で売っていた,

「国産豚ロース(生姜焼き用)」というものでしたが,

果たして生姜焼き以外の用途に使ってもよかったのでしょうか。

SEIYUの精肉担当の方がせっかく「生姜焼き用」というのを明示してくれたのに,

これに逆らうことは許されるのか。

反規範的人格態度と評されるのではないか。

もしかしてこれは犯罪なのでは……!?

司法試験を直前に控えた受験生の精神は異常です。

夕飯を食べる時ですら道義的非難を浴びせられるおそれに震える。

心休まるときはありません。

早く試験を終えて人権を取り戻したいです。

ところで今日は古江の第12講です。

≪問題≫

【設 問】
 甲は,収賄事件の被疑者乙の妻から被疑者の弁護人に選任され,勾留2日目に,勾留場所のA警察署留置場に赴き,乙との初めての接見を申し出たが,乙がB地方検察庁において検察官Pの取調べを受けていることが判明したため,Pに対して乙との接見の申出をした。Pは,乙を現に取調べ中であったことから,甲にその旨説明し,接見の日時等について協議しようとしたが,甲は協議に応じようとしなかった。そこで,Pは,甲と協議することなく,接見日時を「翌日午前10時から12時までの間」などとする指定をした。乙には甲のほかに弁護人は選任されていなかった。Pの上記接見指定は適法か。


接見交通は,判例が詳しくいろいろ述べてくれているので,

一見書きやすいような気はしますが,

解説にもあるように,捜査の必要性と接見交通の利益とのバランスの落としどころが,

難しい場面が意外とあるように思います。

なので,規範の導出まではスラスラといくと思いますが,

その後に時間を費やさないといけないですね。

最悪,落としどころがよく分からなくても,

上の2つのバランスを頑張って調整してみました!!

けどやっぱよく分かんねえや!!

学者さんの問題意識ぱねえっす!!!!!!

みたいなことは答案に残したいですね。

殴られそうですね。

≪答案≫
1 検察官Pは,甲の乙との接見の申出に対して,これを翌日に指定する旨の接見指定(以下「本件接見指定」という。)をしているが,これは刑訴法39条3項の要件を満たすか。
2⑴ 本件接見指定が「捜査のため必要があるとき」としてされたといえるか。「捜査のため必要があるとき」の意義が明らかでないので,これを検討する。
 ⑵ 憲法34条前段は,単に被疑者が弁護人を選任することを官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく,被疑者に対し,弁護人を選任した上で,弁護人に相談し,その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障したものである。そして,刑訴法39条1項は,憲法34条の前記の趣旨にのっとり,身体の拘束を受けている被疑者が弁護士等と相談し,その助言を受けるなど弁護人等から援助を受ける機会を確保することを目的としており,その意味で,憲法の保証に由来するものであるということができる(※1)
 もっとも,憲法は,刑罰権の発動ないし刑罰権発動のための捜査権の行使が国家の権能であることを当然の前提としているから,被疑者と弁護人等との接見交通権は刑罰権ないし捜査権に絶対的に優先するような性質のものとはいえないが,被疑者が弁護人から援助を受ける機会の重要性に照らすときは,これに対する制限は限定的に行われる必要がある(※2)。そこで,刑訴法39条3項の規定は,刑訴法が定めた厳格な身柄拘束期間の制限があることに鑑み,1つしかない被疑者の身柄を対象とした取調べ等の捜査の必要と接見交通権の行使との調整を図る趣旨に出たものである(※3)
 したがって,「捜査のため必要があるとき」とは,弁護人から申出のあった被疑者との接見を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障を生ずる場合をいう(※4)
 ⑶ これを本件についてみると,甲がPに対して乙との接見を申し出たときには,乙は,現に取調べを受けているのであるから,これを認めるにあたっては取調べを中断させることが必要である。本件の事実関係からは明らかではないが,ここで取調べを中断させることによって,捜査に顕著な支障を生ずる場合であれば,「捜査のため必要があるとき」にあたる。
3⑴ それでは,甲と乙との初回の接見となるものであるが,それにもかかわらず接見を翌日に指定した本件接見指定は,「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなもの」にはあたらないか。「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなもの」の意義が明らかでないため,これを検討する。
 ⑵ 刑訴法39条3項ただし書は,弁護人等の申出に沿った接見を認めたのでは捜査に顕著な支障を生ずるときであっても,被疑者の弁護人との接見交通権の重要性に鑑みて,不当な接見指定を行うことを禁止する趣旨であるから,捜査機関は,弁護人等と協議してできる限り速やかな接見のための日時等を指定し,被疑者が弁護人等と防禦の準備をすることができるような措置を採らなければならない(※5)
 とりわけ,被疑者の逮捕直後の初回の接見は,被疑者にとっては,弁護人の選任を目的とし,かつ,今後捜査機関の取調べを受けるに当たっての助言を得るための最初の機会であって,前記の憲法の保障の出発点を成すものであるから,これを速やかに行うことが被告人の防御に準備のために特に重要である。したがって,捜査機関は,接見指定の要件が具備されたときであっても,その指定にあたっては,弁護人となろうとする者と協議して,即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けることが可能かどうかを検討し,これが可能なときは,留置施設の管理運営上支障があるなど特段の事情のない限り,所要の手続を終えた後において,たとえ比較的短時間であっても,時間を指定した上で即時又は近接した時点での接見を認めるようにすべきである(※6)。この理は,被疑者と弁護人との接見が,被疑者の逮捕直後にされるものでなくとも,初回の接見である限り妥当するものである(※7)
 ⑶ これを本件についてみると,甲と乙との接見は,乙が逮捕されてから初めてされるものである。そこで,Pとしては,捜査に顕著な支障が生じるのを避けて即時又は近接した時点での接見を認めることが可能かどうかを甲と協議することが求められるところ,Pはこれをしていない。もっとも,Pと甲との間で協議がもたれなかったのは,Pが協議をしようとしたにもかかわらず,甲がこれに応じなかったためであるから,Pが甲と協議をもたなかったこと自体からは,本件接見指定の違法性は導かれないというべきである。
 甲と乙との接見が初回であることからすれば,接見指定は少なくとも近接した日時でされなければならないところ,乙に対する捜査が行われるにしても,途中で休憩がもたれたときに接見を行わせることなども可能であるから,なるべくこのような時を指定するべきである。しかし,本件接見指定は,そのような配慮をせずに,翌日の接見日時を指定したものであるから,即時又は近接した時点での接見を認めたものではないというべきである。
 したがって,本件接見指定は,A警察署留置場における接見が管理運営上支障があるなどの特段の事情がない限り,「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなもの」であるといわざるを得ない。
4 よって,本件接見指定は,前記の特段の事情がない限り,違法である。

以 上


(※1)「憲法34条前段は、『何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。』と定める。この弁護人に依頼する権利は、身体の拘束を受けている被疑者が、拘束の原因となっている嫌疑を晴らしたり、人身の自由を回復するための手段を講じたりするなど自己の自由と権利を守るため弁護人から援助を受けられるようにすることを目的とするものである。したがって、右規定は、単に被疑者が弁護人を選任することを官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく、被疑者に対し、弁護人を選任した上で、弁護人に相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきである。」「刑訴法39条1項が、『身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第31条第2項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。』として、被疑者と弁護人等との接見交通権を規定しているのは、憲法34条の右の趣旨にのっとり、身体の拘束を受けている被疑者が弁護人等と相談し、その助言を受けるなど弁護人等から援助を受ける機会を確保する目的で設けられたものであり、その意味で、刑訴法の右規定は、憲法の保障に由来するものであるということができる」最判平成11年3月24日民集53巻3号514頁
(※2)憲法は、刑罰権の発動ないし刑罰権発動のための捜査権の行使が国家の権能であることを当然の前提とするものであるから、被疑者と弁護人等との接見交通権が憲法の保障に由来するからといって、これが刑罰権ないし捜査権に絶対的に優先するような性質のものということはできない。そして、捜査権を行使するためには、身体を拘束して被疑者を取り調べる必要が生ずることもあるが、憲法はこのような取調べを否定するものではないから、接見交通権の行使と捜査権の行使との間に合理的な調整を図らなければならない。憲法三四条は、身体の拘束を受けている被疑者に対して弁護人から援助を受ける機会を持つことを保障するという趣旨が実質的に損なわれない限りにおいて、法律に右の調整の規定を設けることを否定するものではないというべきである。」前掲最判平成11年3月24日
(※3)「ところで、刑訴法39条は、前記のように1項において接見交通権を規定する一方、3項本文において、『検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第1項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。』と規定し、接見交通権の行使につき捜査機関が制限を加えることを認めている。この規定は、刑訴法において身体の拘束を受けている被疑者を取り調べることが認められていること(198条1項)、被疑者の身体の拘束については刑訴法上最大でも23日間(内乱罪等に当たる事件については28日間)という厳格な時間的制約があること(203条から205条まで、208条、208条の2参照)などにかんがみ被疑者の取調べ等の捜査の必要と接見交通権の行使との調整を図る趣旨で置かれたものである。そして、刑訴法39条3項ただし書は、『但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。』と規定し、捜査機関のする右の接見等の日時等の指定は飽くまで必要やむを得ない例外的措置であって、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限することは許されない旨を明らかにしている。」前掲最判平成11年3月24日
(※4)「このような刑訴法39条の立法趣旨、内容に照らすと、捜査機関は、弁護人等から被疑者との接見等の申出があったときは、原則としていつでも接見等の機会を与えなければならないのであり、同条3項本文にいう『捜査のため必要があるとき』とは、右接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られ、右要件が具備され、接見等の日時等の指定をする場合には、捜査機関は、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見等のための日時等を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備をすることができるような措置を採らなければならないものと解すべきである。そして、弁護人等から接見等の申出を受けた時に、捜査機関が現に被疑者を取調べ中である場合や実況見分、検証等に立ち会わせている場合、また、間近い時に右取調べ等をする確実な予定があって、弁護人等の申出に沿った接見等を認めたのでは、右取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合などは、原則として右にいう取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に当たると解すべきである」前掲最判平成11年3月24日
(※5)「弁護人等の申出に沿った接見等を認めたのでは捜査に顕著な支障が生じるときは、捜査機関は、弁護人等と協議の上、接見指定をすることができるのであるが、その場合でも、その指定は、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならないのであって(刑訴法39条3項ただし書)、捜査機関は、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見等のための日時等を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備をすることができるような措置を採らなければならないものと解すべきである。」最判平成12年6月13日民集54巻5号1635頁
(※6)「とりわけ、弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と被疑者との逮捕直後の初回の接見は、身体を拘束された被疑者にとっては、弁護人の選任を目的とし、かつ、今後捜査機関の取調べを受けるに当たっての助言を得るための最初の機会であって、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ抑留又は拘禁されないとする憲法上の保障の出発点を成すものであるから、これを速やかに行うことが被疑者の防御の準備のために特に重要である。したがって、右のような接見の申出を受けた捜査機関としては、前記の接見指定の要件が具備された場合でも、その指定に当たっては、弁護人となろうとする者と協議して、即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けることが可能かどうかを検討し、これが可能なときは、留置施設の管理運営上支障があるなど特段の事情のない限り、犯罪事実の要旨の告知等被疑者の引致後直ちに行うべきものとされている手続及びそれに引き続く指紋採取、写真撮影等所要の手続を終えた後において、たとい比較的短時間であっても、時間を指定した上で即時又は近接した時点での接見を認めるようにすべきであり、このような場合に、被疑者の取調べを理由として右時点での接見を拒否するような指定をし、被疑者と弁護人となろうとする者との初回の接見の機会を遅らせることは、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するものといわなければならない。」前掲最判平成12年6月13日
(※7)解説166頁


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
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