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2025-12-31(Wed)

答案等のリンク

私が書きなぐった答案のページへのリンク集です。

●旧司法試験●
▼憲法
・ 昭和56年第1問(犯罪歴の開示)
・ 平成15年第2問(政党と結社の自由)
▼民事訴訟法
・ 昭和61年第2問(相手方の訴訟態度の変動と自白の撤回)
・ 平成7年第2問(訴訟手続への表見法理の適用の可否)
・ 平成10年第2問(既判力と基準時後の事由)
・ 平成20年第2問(補助参加人の控訴期間の起算点,参加的効力の制限)
・ 平成21年第1問(一部請求,職権による過失相殺,規範的要件における評価根拠事実)
・ 平成22年第1問(重複訴訟と確認の利益,消極的確認訴訟と給付訴訟)
▼刑法
・ 平成16年第1問(中止犯,不作為犯)
▼刑事訴訟法
・ 昭和43年第2問(供述拒否が「供述不能」にあたるか,公判廷供述よりも検面調書が詳細である場合)
・ 昭和51年第2問(証言拒絶の適用範囲,証言拒絶は「供述不能」にあたるか)
・ 昭和53年第2問(伝聞証拠の意義)
・ 昭和61年第2問(相反供述の認定,共犯者の自白)
・ 平成元年第2問(再伝聞)
・ 平成13年第2問(記憶喪失は「供述不能」にあたるか,手続的公正を欠く場合)
・ 平成21年第2問(自白法則,違法収集証拠排除法則)
・ 平成22年第2問(犯行メモの証拠能力)

●新司法試験●
▼刑事訴訟法
・ 平成26年
▼倒産法
・ 平成18年第1問
・ 平成18年第2問
・ 平成19年第1問
・ 平成19年第2問
・ 平成20年第1問
・ 平成20年第2問
・ 平成21年第1問
・ 平成21年第2問
・ 平成22年第1問
・ 平成22年第2問
・ 平成23年第1問
・ 平成23年第2問
・ 平成24年第1問
・ 平成24年第2問
・ 平成25年第1問
・ 平成25年第2問
・ 平成26年第1問
・ 平成26年第2問
・ 平成27年第1問
・ 平成27年第2問
・ 平成28年第1問
・ 平成28年第2問
・ 平成29年第1問
・ 平成29年第2問
・ 平成30年第1問
・ 平成30年第2問

●演習書●
▼事例研究行政法第3版
・ 第1部問題1(審査基準の設定公表義務違反,他事考慮)
・ 第1部問題2(処分性,違法性,訴訟形式)
・ 第1部問題3(申出に対する応答の取消訴訟,義務付け訴訟)
・ 第1部問題4(原告適格)
・ 第1部問題5(訴えの客観的利益,取消訴訟の本案)
・ 第1部問題6(訴訟類型,理由の提示,比例原則)
・ 第1部問題7(国賠-1条)
・ 第1部問題8(国賠-営造物)
・ 第2部問題1(理由提示の程度,新たな理由の追加,証明責任の分配,取消判決の拘束力)
・ 第2部問題2(訴訟類型,取消訴訟の訴訟要件全般,工事が完成した場合の訴えの利益)
・ 第2部問題3(公共施設管理者の不同意の処分性,訴訟類型,不同意の違法性,開発許可の違法性,違法性の承継)
・ 第2部問題4(実質的当事者訴訟,差止訴訟の重損要件,要綱の法的性質,第三者の原告適格)
・ 第2部問題5(届出の不受理の争い方,行政指導の実効性確保と争い方,公表の法的性質と争い方)
・ 第2部問題6(代執行における戒告の処分性,法令と条例との関係,条例の合理性,比例原則)
・ 第2部問題7(処分の取消訴訟と執行停止(重損要件を中心に),第三者の原告適格,団体の原告適格)
・ 第2部問題8(処分が反復継続的・累積加重的される場合の争い方(差止訴訟,実質的当事者訴訟),裁量権の範囲の逸脱濫用)
・ 第2部問題9(処分性(公権力性の有無-契約の差異),本案(「保育に欠ける」の解釈),指定管理者の指定の処分性,第三者の原告適格)
・ 第2部問題10(抗告訴訟の対象とすべき行為の選択,処分性,仮の義務付け,裁量の範囲)
・ 第2部問題11(監督処分発令の可否,監督処分の強制方法,監督処分発令の義務付け訴訟,住民訴訟)
・ 第2部問題12(行政財産の目的外使用不許可の処分性,不許可処分が裁量の逸脱・濫用となる場合)
・ 第2部問題13(申請の不受理・返戻に対する争い方,審査基準の合理性,許可決定の留保の違法性)
・ 第2部問題14(直接型義務付け訴訟の訴訟要件全般,直接型義務付け訴訟の本案の類型,義務付け訴訟にも主張制限を及ぼすことができるか)
・ 第2部問題15(条例制定行為の処分性,実質的当事者訴訟の対象とすべき法律関係,地方自治法227条の解釈,平等原則)
・ 第2部問題16(政令の改正を求める訴訟(直接的義務付け訴訟,無効確認訴訟,実質的当事者訴訟),政令の改正によって生じた損害の補てんを求める訴訟(国家賠償請求訴訟,損失補償請求訴訟))
・ 第2部問題17(入管法の仕組み,退去強制を免れるための争い方(取消訴訟,義務付け訴訟),執行停止,仮の義務付け,裁量権の逸脱・濫用)
▼事例で学ぶ民法演習
・ 問題3(法人)
・ 問題4(虚偽表示と第三者)
▼事例研究刑事法Ⅱ
・ 第3部問題4(令状の効力が及ぶ範囲,差押の範囲)
・ 第3部問題5(かすがい外し)
・ 第4部問題1(訴因変更の要否)
▼事例演習刑事訴訟法第2版
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)

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2019-03-25(Mon)

【事例演習刑事訴訟法】第32講「攻防対象論-上訴審における職権調査の限界」

ついに……

つ  い  に  !!!

古江本を解き終わります!!!

3月13日から解き始めたので,

全答案を作成するのに約2週間かかりました。

すなわち,この2週間は刑訴しかやっていなかったということですね。

もう,刑訴でこわいものはないですよ。

刑訴に対する苦手意識はすごかったんですが,

少しばかしはマシになって気がします。

いやー本当はこういうことは学部の時間があるときとかにやっておくべきでしたね。

少なくとも司法試験直前にやることではありません。

とはいえ,TKCでの刑訴の散り方の悲惨たるやを受けたら,

そんなこと言ってられないですね。

というわけで,今回は,古江の第33講です。

≪問題≫

【設 問】
 検察官は,被告人を甲罪と乙罪により起訴(両罪は観念的競合)したところ,第1審裁判所は,甲罪については無罪(理由中で判断し,主文では無罪の言渡しをしなかった),乙罪については有罪の判決を言い渡した。この第1審判決に対して,被告人が控訴を申し立て,有罪とされた乙罪について事実誤認があり,犯罪は成立しない旨主張したが,検察官は,無罪とされた部分について公訴しなかった。控訴裁判所が,甲罪,乙罪共に有罪であり,第1審裁判所には甲罪を無罪としたことについて事実誤認があると考えた場合において,控訴裁判所は,破棄自判して,起訴事実の全部について有罪とすることができるか。


……

…………

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

こんなの司法試験出る……?

≪答案≫
1 裁判所は,原審において甲罪については無罪,甲罪と科刑上一罪の関係にある乙罪については有罪とされ,被告人が乙罪についてのみ控訴し(刑訴法372条),検察官が甲罪について控訴しなかった場合に,甲罪について有罪とする裁判をすることができるか。
2 そもそも,この場合において,甲罪は,控訴審に移審しているかどうかについて検討すると,刑訴法357条は,裁判の一部の上訴を認めているが,これは主文が複数ある場合について定めたものであり,罪数上一罪とされるものの一部について上訴を認めたものではない。そうすると,刑訴法上,罪数上一罪とされるものについて,一部の上訴を認める規定はないのであるから,罪数上一罪とされる犯罪に係る原審の裁判に対する控訴があった場合には,その全体が控訴審に移審係属することとなる(※1)
 本件でも,被告人が乙罪について原審には事実誤認があるとして控訴した場合であっても,これとともに甲罪についても控訴の効力が及ぶため,甲罪は,控訴審の移審することとなる。
3 控訴裁判所は,原則として控訴趣意書に包含された事項について調査することができる(刑訴法392条1項)とともに,その他の事項については職権で調査することができる(同条2項)。本件では,被告人は乙罪についての事実誤認を理由として控訴しているため,裁判所が甲罪に関する事項を調査するとすれば,職権で行うこととなる。
 もっとも,刑訴法は,当事者主義が基本原則とされ,裁判所は検察官の設定した訴因に拘束されその範囲内で審判しなければならないのであって(378条3号後段),職権主義はその補充的・後見的なものとされている。そして,控訴審は,第一審と同じ立場で事件そのものを審理するのではなく,当事者の訴訟活動を基礎として形成された第一審判決を対象とし,これを事後的な審査を加えるべきものであるから,同様の理があてはまる。そうすると,その事後審査も当事者の申し立てた控訴趣意を中心としてこれをなすのが建前であって,職権調査はあくまで補充的なものにすぎない(※2)。これらの観点からすれば,裁判所は,検察官が控訴することなく審判の対象からはずしたと認められる部分については,職権で調査し判断をすることはできないというべきである(※3)(※4)
 これを本件についてみると,甲罪と乙罪とは観念的競合を構成するものであるにしても,その各部分は,それぞれ1個の犯罪構成要件を充足し得るのであり,訴因として独立し得たものである。そして,このうち甲罪の部分については,被告人から不服を申し立てる利益がなく(※5),検察官からの控訴申立てもないのであるから,当事者間においては攻防の対象からはずされたものとみることができる。したがって,控訴裁判所は,甲罪について職権調査を行うことはできない。
4 よって,控訴裁判所は,破棄自判して,起訴事実の全部について有罪とすることはできない。

以 上


(※1)「第一審判決がその理由中において無罪の判断を示した点は、牽連犯ないし包括一罪として起訴された事実の一部なのであるから、右第一審判決に対する控訴提起の効力は、それが被告人からだけの控訴であつても、公訴事実の全部に及び、右の無罪部分を含めたそのすべてが控訴審に移審係属すると解すべきである。」最決昭和46年3月24日刑集25巻2号293頁
(※2)「控訴審が第一審判決について職権調査をするにあたり、いかなる限度においてその職権を行使すべきかについては、さらに慎重な検討を要するところである。いうまでもなく、現行刑訴法においては、いわゆる当事者主義が基本原則とされ、職権主義はその補充的、後見的なものとされているのである。当事者主義の現われとして、現行法は訴因制度をとり、検察官が公訴を提起するには、公訴事実を記載した起訴状を裁判所に提出しなければならず、公訴事実は訴因を明示してこれを記載しなければならないこととし、この訴因につき、当事者の攻撃防禦をなさしめるものとしている。裁判所は、右の訴因が実体にそぐわないとみられる場合であつても、原則としては訴因変更を促がし或いはこれを命ずべき義務を負うものではなく……、反面、検察官が訴因変更を請求した場合には、従来の訴因について有罪の言渡をなし得る場合であつても、その訴因変更を許さなければならず……、また、訴因変更を要する場合にこれを変更しないで訴因と異なる事実を認定し有罪とすることはできないのである。このように、審判の対象設定を原則として当事者の手に委ね、被告人に対する不意打を防止し、当事者の公正な訴訟活動を期待した第一審の訴訟構造のうえに立つて、刑訴法はさらに控訴審の性格を原則として事後審たるべきものとしている。すなわち、控訴審は、第一審と同じ立場で事件そのものを審理するのではなく、前記のような当事者の訴訟活動を基礎として形成された第一審判決を対象とし、これに事後的な審査を加えるべきものなのである。そして、その事後審査も当事者の申し立てた控訴趣意を中心としてこれをなすのが建前であつて、職権調査はあくまで補充的なものとして理解されなければならない。けだし、前記の第一審における当事者主義と職権主義との関係は、控訴審においても同様に考えられるべきだからである。」前掲最決昭和46年3月24日
(※3)「包括一罪,科刑上一罪は一罪であるから不可分であり,仮にその一部について控訴しても,全部について控訴したものとみなされる。ただし,最高裁判所の判例は,科刑上一罪の一部を無罪とし,他を有罪と認定する第1審判決があり,これに対して被告人のみが控訴した事案について,一罪の全部が控訴審に係属するものの,無罪部分に不服のなかった両当事者の意思を尊重し,当事者間の攻防対象からはずれた無罪部分に控訴審が職権調査を及ぼしてこれを変更することは許されないとする(最大決昭和46・3・24刑集25巻2号293頁[新島ミサイル事件])。さらに,判例は,単純一罪の訴因についても攻防対象の考え方を及ぼし,本位的訴因とされた賭博開帳図利の共同正犯は認定できないが,予備的訴因とされた賭博開帳図利の幇助犯は認定できるとした第1審判決に検察官が控訴の申立てをしなかった事案について,控訴審が職権により本位的訴因について調査を加えて有罪の自判をすることは,職権発動として許される限度を超え違法であるとしている(最決平成25・3・5刑集67巻3号267頁)。」酒巻匡『刑事訴訟法』624頁
(※4)現行刑訴法は,当事者主義を採用し,訴追裁量権を検察官に与え,訴因の設定を検察官の権限としており,裁判所は,検察官の設定した訴因に拘束され,その範囲内で審判をしなければならない(同法378条3号後段参照)。職権調査の権限を有する控訴審(同法392条2項)においても,その理は当てはまり,検察官が控訴することなく審判の対象から外したと認められる部分については,職権で調査し判断をすることはできないとするのが,当事者主義の下における事後審査制の構造に適合する。」井上正仁ほか『刑事訴訟法判例百選〔第10版〕』226頁
(※5)「被告人側の控訴については,事実認定や量刑等に関する瑕疵の主張を審査し,理由があれば原判決を破棄して当該事件における被告人の具体的救済を主眼とするので,被告人に実益のない控訴は許されない。明文はないが,無罪判決に対しては,『控訴の利益』がないので被告人から申し立てることはできないと解されている。また,免訴や公訴棄却の形式裁判があった場合も,被告人からの控訴は許されないというのが判例である(最決昭和53・10・31刑集32巻7号1793頁)。」前掲酒巻623頁



2019-03-25(Mon)

【事例演習刑事訴訟法】第32講「一事不再理効」

明日から辰巳の模試があるようです。

受験される方々は4日間頑張ってください。

今月の始めにTKCを4日間受けてみて,

やっぱり普段勉強しているときとは比類し得ないほど疲れました。

特に2日目の民事が終わった瞬間ですね。

あれは辛いです。

あれだけ疲れていると中日は疲労の回復に専念した方がいいでしょうね。

模試でこれだけ疲れるんだったら,本番はもっとなんだろうなあと思います。

いやぁ,受けたくないなぁ……

ところで,今回は,古江の第31講です。

≪問題≫

【設 問】
 被告人Xは,5件の窃盗罪により懲役2年の実刑判決を受け,同判決はそのころ画定したが,その後,前訴の保釈中に3件の窃盗を犯していたことが判明したため,検察官は,所要の捜査を遂げて,被告人Xにつき常習特殊窃盗罪により公訴を提起した。
 弁護人は,前訴の5件の窃盗と,本件常習特殊窃盗とは実体的に一罪を構成し,その一部である前訴の窃盗について,既に確定判決を経ているから,前訴の確定判決の一事不再理効が後訴である本件に及び,本件については免訴判決を言い渡すべきであると主張した。
 後訴裁判所は,いかなる措置を採るべきか。


一事不再理効です。

馴染みがない分野です。

たぶんまだ1回も勉強したことないんだろうと思っていたら,

古江にめっちゃ線引いてありました。

誰ですか私の古江に勝手に線を引いたやつは!!

≪答案≫
1 弁護人は,Xが5件の窃盗に係る前訴(以下「本件前訴」という。)の保釈中に犯した3件の窃盗に係る後訴(以下「本件後訴」という。)ついて,本件前訴の確定判決の一事不再理効が及ぶため免訴判決(刑訴法337条1号)がされるべきであるとの主張をしている。そこで,本件後訴との関係で本件前訴の判決が確定していることが「確定判決を経たとき」にあたるかどうかを検討する(※1)
2 ここで,一事不再理効とは,判決の確定に伴い生じる,同一事件に対する再度の公訴提起を許さない効果をいう(※2)。一事不再理効が及ぶ範囲について検討すると,憲法39条は,刑事手続が正常に作動した結果として被告人の罪責の不存在が確定し,又は有罪判決が確定したときには,刑事訴訟の目的が完遂されたことになるから,再度の公訴提起を許さないものとして,被告人が国家からの刑事責任追及について手続上の二重負担を防止するものである(※2)(※3)。そして,検察官は,「公訴事実の同一性を害しない限度において」,訴因を変更することが可能である(刑訴法312条1項)。そうすると,被告人は,当該刑事訴訟において,起訴状記載の訴因のみならず,これと公訴事実の同一性の範囲内の別の事実についても訴追・処罰される危険にさらされていたとみることができる。したがって,一事不再理効は,当該刑事手続において検察官が殺意意思を実現すべきであった事実の範囲,すなわち公訴事実の同一性の範囲内に及ぶ(※4)
 そして,訴因制度を採用した刑訴法の下においては,少なくとも第一次的には訴因が審判の対象であるから,前訴の訴因と後訴の訴因との間の公訴事実の同一性についての判断は,基本的には,前訴及び後訴の各訴因のみを基準として比較対照することにより行うべきである(※5)。もっとも,訴因自体において,両訴因が実体的に一罪を構成するかどうかにつき検討すべき契機が存在する場合については,訴因外の事実についても考慮することができる(※6)
3 これを本件についてみると,本件前訴の訴因は単純窃盗罪であるが,本件後訴の訴因は余罪の常習特殊窃盗罪である。単純窃盗罪と常習特殊窃盗罪とは一罪を構成するものではないが,両訴因の記載の比較のみからでも,両訴因の単純窃盗罪と常習特殊窃盗罪とか実体的には常習特殊窃盗罪の一罪ではないかと強くうかがわれる。そうすると,訴因自体において本件前訴の単純窃盗罪が本件後訴の常習特殊窃盗罪と実体的に一罪を構成するかどうかにつき検討すべき契機が存在する場合であるから,裁判所は,本件前訴の単純窃盗罪が常習性の発露として行われたか否かについて付随的に心証形成をし,両訴因間の公訴事実の同一性の有無について判断することができる。その結果,裁判所が,両訴因間の公訴事実の同一性を認めた場合には,本件前訴の一事不再理効は,本件後訴に及ぶこととなる。
4 よって,裁判所は,前記の場合には,本件後訴について,免訴判決を言い渡すべきである。

以 上


(※1)「いきなり『一事不再理効がどうだ,こうだ』と論じ始める学生もいるけれど,当然のことながら,まずは,現行法の解釈として論じるべきだろう。つまり337条1号の『確定判決を経た』ものとして免訴とすべき範囲,すなわち,確定判決の一事不再理効の及ぶ客観的範囲を論じたうえで,一事不再理効に関する『公訴事実の単一性』の判断方法について論じるべきだろう」解説451頁
(※2)有罪判決が確定した事件は,刑事訴追が完了し刑事訴訟がその目的を完遂したことになるから,再度の公訴提起は許されない。憲法が,『同一の犯罪について,重ねて刑事上の責任を問はれない』と規定して二重の処罰を禁止しているのは,この趣意である(憲法39条後段)。また,無罪判決が確定した場合について,憲法は,『既に無罪とされた行為については,刑事上の責任を問はれない』と規定しており(憲法39条前段),同様に再度の公訴提起は許されない。こちらも,刑事手続が正常に作動した結果として被告人の罪責の不存在が確定し,その目的が完遂されているからである。」「いずれの場合も,国家からの刑事責任追及について,国民に対する手続上の二重負担,すなわち『二重の危険(double jeopardy)』を課すことの防止を基本権として保障したものである。アングロ=アメリカ法に由来する。このように,判決の確定に伴い生じる,同一事件に対する再度の公訴提起を許さない効果のことを,『一事不再理の効力』という」酒巻匡『刑事訴訟法』611頁
(※3)「一事不再理の効力は,旧法以来,確定判決の対象とされた事実と全く同じでなくとも,これと『公訴事実の同一性』のある事実に及ぶと解されてきた。訴因制度を採用した現行法とは異なり,旧法のもとでは,検察官が起訴状に記載した犯罪事実にとどまらず,裁判所には,これと同一性のある公訴犯罪事実全体について職権審理を及ぼす権限と責務があり(「職権審理主義」),また,起訴状記載の犯罪事実を含む実体法上一罪の全体が審理・判決の対象になると解されてきた(公訴不可分の原則)……。」「このような理解と運用を前提とすれば,有罪・無罪の裁判の判断内容が確定した場合,その拘束力も当初から審判対象であった同一の公訴事実の範囲に及び,後の裁判所はこれと異なる判断ができないことになる。このため,同一の事実についてそのような判断を求める再度の起訴自体も許すべきではないと解されたのである。すなわち,確定実体判決の内容的確定力(拘束力)が再度の基礎を禁止する機能として発現するのが,一事不再理効であるとの説明となる。」「このような説明に拠れば,現行法における裁判所の審理・判決の対象は,検察官が起訴状に明示・記載した訴因であるから,一事不再理の効力が,前記のような実体裁判の拘束力すなわち確定判決の判断事項とその内容に基づくものであるとすれば,それは,訴因として記載され,現に裁判所の審判対象とされた事実についてのみ及ぶということになるはずである。」「これに対して,現行法のもとにおける通説的説明は,前記のとおり,一事不再理の効力を,『二重の危険の禁止』すなわち刑事手続の二重負担を回避するという手続上の根拠に求めるものである。一事不再理の効力を裁判の判断内容に伴う拘束力ではなく,刑事訴追と実体審理・判決を受ける可能性という手続上の負担の観点から根拠付けることになる。」「既に説明したとおり,検察官は,『公訴事実の同一性を害しない限度において』,一つの刑事手続の追行過程において,起訴状に当初記載した訴因を別の訴因に変更することが可能であるから(法312条1項),被告人は,当該刑事手続において,起訴状記載の訴因のみならず,これと公訴事実の同一性の範囲内の別の事実についても訴追・処罰される危険にさらされていたとみることができる。それ故,実体裁判が確定した場合には,当該刑事手続において検察官が訴追意思を実現可能であったはずの事実の範囲,すなわち公訴事実の同一性の範囲内で,再度の起訴が許されなくなるのである」前掲酒巻612頁
(※4)「平成15年10月判決の結論を是認するとすれば,手続の『危険』については,川出教授がいわれるように,『訴因変更によって審判の範囲に取り込むことができたかどうか』(訴因変更可能性)ではなくて,『検察官が後訴の事実を訴追するのなら訴因変更によって前訴に取り込むべきであったかどうか』が問題とされることにならざるを得ない」解説450頁
(※5)「訴因制度を採用した現行刑訴法の下においては,少なくとも第一次的には訴因が審判の対象であると解されること,犯罪の証明なしとする無罪の確定判決も一事不再理効を有することに加え,前記のような常習特殊窃盗罪の性質や一罪を構成する行為の一部起訴も適法になし得ることなどにかんがみると,前訴の訴因と後訴の訴因との間の公訴事実の単一性についての判断は,基本的には,前訴及び後訴の各訴因のみを基準としてこれらを比較対照することにより行うのが相当である。本件においては,前訴及び後訴の訴因が共に単純窃盗罪であって,両訴因を通じて常習性の発露という面は全く訴因として訴訟手続に上程されておらず,両訴因の相互関係を検討するに当たり,常習性の発露という要素を考慮すべき契機は存在しないのであるから,ここに常習特殊窃盗罪による一罪という観点を持ち込むことは,相当でないというべきである。そうすると,別個の機会に犯された単純窃盗罪に係る両訴因が公訴事実の単一性を欠くことは明らかであるから,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴には及ばないものといわざるを得ない。」最判平成15年10月7日刑集57巻9号1002頁
(※6)「前訴の訴因が常習特殊窃盗罪又は常習累犯窃盗罪(以下,この両者を併せて「常習窃盗罪」という。)であり,後訴の訴因が余罪の単純窃盗罪である場合や,逆に,前訴の訴因は単純窃盗罪であるが,後訴の訴因が余罪の常習窃盗罪である場合には,両訴因の単純窃盗罪と常習窃盗罪とは一罪を構成するものではないけれども,両訴因の記載の比較のみからでも,両訴因の単純窃盗罪と常習窃盗罪が実体的には常習窃盗罪の一罪ではないかと強くうかがわれるのであるから,訴因自体において一方の単純窃盗罪が他方の常習窃盗罪と実体的に一罪を構成するかどうかにつき検討すべき契機が存在する場合であるとして,単純窃盗罪が常習性の発露として行われたか否かについて付随的に心証形成をし,両訴因間の公訴事実の単一性の有無を判断すべきであるが(最高裁昭和42年(あ)第2279号同43年3月29日第二小法廷判決・刑集22巻3号153頁参照),本件は,これと異なり,前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪の場合であるから,前記のとおり,常習性の点につき実体に立ち入って判断するのは相当ではないというべきである。」前掲最判平成15年10月7日



2019-03-24(Sun)

【事例演習刑事訴訟法】第31講「択一的認定」

本日は,蒙古タンメン中本吉祥寺店の周年祭でして,

私もそれに参戦する予定……だったんですが,

諸事情により行くことができなくなってしまい,

やむなくtwitterで参戦してきた方々の報告を眺めるばかり……

今年も全店制覇は達成できませんでした。

残念残念……

ところで,今回は,古江の第31講です。

≪問題≫

【設 問】
 Xは,連れ子であるV(当時3歳)が内縁関係にあるYからその頭部等に暴行を受けてぐったりしているのを発見し,いったんはVに医師の診療を受けさせるべく,自己の運転する車両で,Vを自動車の助手席に乗せて病院に向かったものの,途中で,Vの様子が瀕死状態であったことから,治療を受けさせても到底助からないであろうと考えて,自動車を止めて,Vを道路脇の草むらに放置して逃げたところ,翌日,Vは,通行人により死体で発見された。
 検察官は,Xについて,本位的訴因を保護責任者遺棄罪,予備的訴因を死体遺棄罪として,公訴を提起した。
 裁判所は,審理を尽くしたものの,被告人XがVを道路脇に遺棄した時点において,Vが生存していたのか,それとも死亡していたのか,いずれであるかについては明らかでないとの心証を得た。
 裁判所は,「保護責任者遺棄又は死体遺棄」との択一的な事実を認定したうえ,軽い死体遺棄罪の罰条で処断することができるか。


択一的認定ですね。

訴因と一緒に勉強すると理解が深まるように思いますね。

とにかく当事者主義構造まで立ち返って検討することが必要なんでしょう。

他の科目もそうですけど,刑訴は特に根本原理から考えることが多い気がします。

≪答案≫
1 裁判所は,被告人XがVを道路脇に遺棄した時点において,Vが生存していたのか,それとも死亡していたのか,いずれであるかについては明らかでないとの心証を得た場合に,「保護責任者遺棄又は死体遺棄」との択一的な事実を認定することはできるか。裁判所が刑の言渡しをするためには,「被告事件について犯罪の証明」があることが必要である(刑訴法333条1項)ため,前記の心証をもって「被告事件について犯罪の証明があった」と認められるかどうかについて検討する。
2 刑訴法は裁判手続の遂行について当事者主義を採用しており(256条6項,298条1項,312条1項),このような手続の構造の下では審判対象は当事者が主張する訴因とされることから,刑訴法333条1項にいう「被告事件」とは訴因を意味する。したがって,訴因の特定に必要不可欠な事実について択一的に認定するのみでは「被告事件について犯罪の証明があった」といえないため,このような認定は刑訴法333条1項に反し許されない。
 本件では,客体Vが死亡しているか否かについて明らかでないとの心証から「保護責任者遺棄又は死体遺棄」と客体が死亡していたか否かについて択一的な事実を認定している。しかし,客体が死亡していたか否かについては,保護責任者遺棄罪又は死体遺棄罪のいずれの構成要件についても,これに該当するかどうか判断するのに必要な事実であるといえる。したがって,審判対象画定の見地から必要不可欠な事実といえ,訴因の特定に必要不可欠な事実にあたるから,Vが死亡していたか否かについて択一的認定をすることは刑訴法333条1項に反し許されない。
3 そうだとしても,本問では,Vが遺棄された当時,生きていたか死んでいたかのどちらかしかあり得ないという論理的択一関係にある以上,無罪を言い渡すことは国民の法感情に反する。そこで,論理的択一関係にある場合には例外的に軽い方の罪の事実の認定が許されないか問題となる。
 刑事責任を基礎付ける事実は実体法の定める個別の構成要件によって定まっているのであり,刑罰を科すにはその構成要件該当事実について合理的な疑いを容れない証明が要請される。しかし,択一的な事実認定をした有罪判決を認めると,個々の構成要件該当事実について合理的な疑いがあるにもかかわらず有罪とするのみならず,複数の構成要件を合成した新たな構成要件を創出して処罰することになるから,罪刑法定主義に反し許されない(※1)
 この点,論理的択一関係にある場合には,利益原則を重い方の罪の事実に適用してその事実の不存在を導き,結果として残った軽い方の罪の事実を認定できるとする見解がある。しかし,利益原則は,事実の証明が不十分な場合に有罪判決をできないという働きをするにとどまり,証明不十分な事実の不存在を積極的に認定する働きまでは有しない。したがって,論理的択一関係にある場合であっても,択一的認定は許されない。
 本件でも,Vが遺棄された当時,生きていたか死んでいたかのどちらかしかあり得ないという論理的択一関係にあるとはいえ,軽い方の死体遺棄の罪の事実を認定することは許されない。

以 上


(※1)「心証が分解して単一の像を結ぶに至らず,それが異なる構成要件の間の択一関係である場合,犯罪の証明があったといえるか(例,保護責任者遺棄か死体遺棄のいずれかであることは確実だがどちらかに特定できない場合,窃盗か盗品譲受けのいずれかであることは確実だがどちらかに特定できない場合)。刑事責任を基礎付ける事実は実体法の定める個別の構成要件により定まっているのであり,刑罰を科すにはその構成要件該当事実について合理的な疑いを容れない証明が要請されている。もし択一的な事実認定をした有罪判決を認めるとすれば,個々の構成要件該当事実について合理的な疑いがあるにもかかわらず有罪とすることになるのみならず,複数の構成要件を合成した新たな構成要件を創出して処罰することになるから,罪刑法定主義に反するというほかなかろう。」酒巻匡『刑事訴訟法』473頁


2019-03-24(Sun)

【事例演習刑事訴訟法】第30講「違法収集証拠排除法則⑶」

3月も終盤になってきました。

もうすぐ入学シーズンがやってきます。

しかし,私はローを卒業したにもかかわらず,どこかに入学できるわけでも,

かといって入社するわけでもないんですね。

そうです。

ニートです。

≪問題≫

【設 問】
 警察官Kは,以前覚せい剤事犯で捜査したことのあるXが覚せい剤中毒者特有の表情で歩いているのを発見し,覚せい剤使用の疑いを抱き,嫌がるXを無理矢理パトカーの後部座席に押し込み,警察署に同行した。Kは,警察署において,直ちに,Xに対して,排尿・提出を求めたところ,Xは,素直に排尿のうえ,これを任意提出したので,Kはこれを領置した。当該尿を鑑定したところ覚せい剤が検出され,Xは覚せい剤使用の罪で起訴された。尿の鑑定書をXの公判で証拠として用いることができるか。


違収排のラストを飾るのは,違法性の承継。

この分野を理解できたこと,今までで一度もないです。

違法性の承継だけでも理解に苦労するのに,

これと別に毒樹の果実とか言い出した日には,

もうまともな答案なんかかけたもんじゃありません。

今回の答案作成を通して,

少しだけでも違法性の承継に関する理解を深められればと思います。

≪答案≫
1 警察官KがXを警察署に連行した行為(以下「本件連行行為」という。)は,Xが同行を拒否しているにもかかわらず,Kがパトカーの後部座席に無理矢理押し込むなどして強制的に連行したものであるから,Xの意思や連行の態様などからみて,実質的に「逮捕」(刑訴法199条1項)にあたる。そして,本件連行行為は,Kが裁判官から令状の発付を受けずに行ったものであるから,令状主義(憲法33条,刑訴法199条1項)に反する違法がある。
 一方で,本件連行行為に引き続いて行われたXの採尿(以下「本件採尿行為」という。)は,Xが任意に提出した尿をKが領置しており(刑訴法221条),刑訴法上の手続違反は認められない。
 そこで,裁判所は,違法と評価される本件連行行為に引き続いて適法に行われた本件採尿行為によってKが取得した尿を鑑定して作成された尿の鑑定書(以下「本件尿鑑定書」という。)をXの公判で証拠として採用することができるか。
2 裁判所が,捜査機関が違法な捜査によって収集した証拠を採用することは,裁判所が捜査機関の違法捜査を是認するものと捉えられ,違法捜査が拡大する危険性がある。そこで,捜査機関による将来の違法捜査を要請する見地から,捜査機関の違法捜査によって収集された証拠は,採用できないこととすべきである。もっとも,軽微な違法手続により収集された証拠であっても,違法の程度・態様を問題とせず一律にこれを排除する結果,事案解明が害されるとすれば,司法への信頼が害されることとなる。
 したがって,捜査機関の捜査手続に,令状主義の精神を没却するような重大な違法があり,これによって得られた証拠として許容することが,将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては,当該証拠の証拠能力は否定される。
 もっとも,証拠収集手続自体が違法と評価されなくとも,それに先行する手続に違法があり,先行手続と証拠収集手続との間に密接な関連性が認められる場合には,先行手続の違法性が証拠収集手続に承継される(※1)
3 これを本件についてみると,本件採尿行為は,違法と評価された本件任意同行によりXを警察署に同行後直ちに行われている上,違法な先行行為によってもたらされた状態を直接的に利用している。したがって,本件任意同行と本件採尿行為との間には,密接な関連性があると認められる。そうすると,本件任意同行の違法性は,本件採尿行為に承継されることとなるから,本家採尿行為も違法性を帯びることとなる。
 そこで,本件採尿行為について検討すると,たしかに本件任意同行はその限度を超えた実質的逮捕であって,本来令状を必要とする行為を無令状で行っている点で違法の程度は小さくはない。しかし,KはXに対してあくまで任意同行を求めようとしたにすぎず,Xをパトカーに乗車させるにあたり有形力を行使しているものの,暴行を振るったといったものではなく軽微なものにすぎないのであるから,Kに令状主義潜脱の意図があったとは認められない。また,本件採尿手続において,KはXに対して何ら強制を加えておらず,Xの自由な意思に基づいて応諾していることからすれば,手続違反の程度は大きいとまではいえない。したがって,本件採尿行為は,令状主義を没却するような重大な違法が認められるものではない。
 また,本件尿鑑定書をXの罪証に供することが,違法捜査抑制の見地から相当でないとは認められない。
 したがって,本件採尿手続によって得られた本件尿鑑定書の証拠能力は否定されない。
4 よって,裁判所は,本件尿鑑定書をXの公判で証拠として採用することができる。

以 上


(※1)本問は,いわゆる違法性の承継のみによって片が付く問題であるため,単純な違法性の承継の論述をすることとしましたが,いわゆる毒樹の果実の問題の場合には,解説で紹介されている川出説にのってしまおうと考えています。川出説と同旨であると思われる酒巻匡『刑事訴訟法』505頁は,「排除が問題とされる証拠とその発見・収集に至る過程における違法手続との間には因果関係が必要である。違法手続と当該証拠の発見・収集との連鎖過程に適法手続が介在する場合(例,違法な任意同行や身体の留め置きの間に実施された適法な採尿手続による尿の収集,採取された尿についての適法な鑑定の実施)もあり得るが,問題とされるべきは,違法手続に由来して発見・収集された当該証拠の証拠能力の有無であるから,証拠排除法則の趣旨・目的に照らして,違法手続の『結果』発見・収集されたいわゆる派生証拠についてその排除の当否を端的に検討すれば足りるというべきである。」「最高裁判所は,一時期,先行する手続の違法が後続する証拠発見・収集の手続に承継されるかどうかという判断枠組みの下で,先行手続と後続の手続との『同一目的・直接利用』の関係を指標にしているかに読める説示をしていた(例,……最判昭和61・4・25,最決昭和63・9・16,最決平成7・5・30)。しかし,この判断枠組みの機能の実質は,事案に即して,違法手続と発見・収集された証拠との間の因果関係の存否を確認しその程度を点検する一手法とみられるものであり,現に近時の判例(……最判平成15・2・14)では,先行する違法手続(窃盗事件についての違法逮捕)と後行の証拠収集手続(覚せい剤使用嫌疑による採尿手続)とは同一目的とはいえず,また,利用関係の直接性も乏しい事案であったことから,最高裁は,違法逮捕と採取された尿及びその鑑定書とが『密接な関連を有する証拠』と説示するにとどめており,その上で,当該証拠を排除する判断をしているのである。」「こうして,違法手続と因果関係のある手続により発見・収集された派生証拠の証拠能力を端的に検討する場合には,……違法の重大性と排除の相当性に関する判断基準をそのまま適用すればよいことになる。そして証拠排除の可否が前記のとおり利益衡量で決まる以上,違法手続と因果関係のある派生証拠がすべて排除されることになるのではなく,個別具体的事案において,違法手続と証拠との因果関係の程度が希薄であるものは排除されないという帰結になろう。」などと指摘されています。


2019-03-23(Sat)

【事例演習刑事訴訟法】第29講「違法収集証拠排除法則⑵」

でました,【今日の一品】のコーナーです。

本日紹介するのはこちら。

S__14524418.jpg

蒙古タンメン中本秋津店の『北極の春』です。

こちらは,中本で定番で提供されている温かいラーメンの中で最も辛い,

『北極ラーメン』の限定バージョン。

使用される具材がシンプルな『北極ラーメン』とは異なり,

ねぎ,溶き卵,タケノコなど,具材がたっぷり。

スープも若干マイルドにされていますが,それでも辛さは10のままのようです。

シンプルな北極に具材を求めるとなると,北極やさいが定番になりますが,

この季節にしか味わえない北極もあるということをご存知頂ければと思います。

とてもおいしいのでおすすめです。

ところで,今回は,古江の第29講です。

≪問題≫

【設 問】
 検察官Pは,強盗殺人事件の被疑者Xに対する捜査の過程で,Z国に帰国していたYの所持する証拠物を獲得すべく,Z国に対し,捜査共助の要請をしたところ,Z国の捜査機関は,Yの自宅を無令状で捜索し,関係証拠物を収集して,検察官Pに送付してきた。なお,Z国の法令では,証拠物の所在する蓋然性が高い場所について無令状で捜索し,発見した証拠物を差し押さえること許されていた。この証拠物をXの後半で証拠として用いることができるか。


なんじゃこりゃ,っていう感じですね。

たぶん普通なら「あっ,これは試験には出ないな」と思って飛してしまう問題だと思います。

私もそう思います

まぁただ,このブログでは古江の全答案を作成するのが目標なので,

一応,念のため,とりあえず,答案を作っておこうと思います。

ここまでで分かるように,もうこの問題に懸ける思いは何もないので,

とても乱雑な答案になってしまう可能性がありますが,悪しからず。

≪答案≫
1 検察官Pが,Xに対する捜査の過程でZ国に捜査共助を要請したところ,Z国の捜査機関は,Z国の法令に従い,Yの自宅について無令状で捜索を行い,関係証拠物を収集している。我が国においては,捜索・差押えを行うについては,一定の場合を除いて,裁判官から捜索差押許可状の発付を受けることが必要である(憲法35条1項,刑訴法218条1項,220条1項)。そこで,外国の法令によっては適法な捜査が日本の法令に照らすときには違法となる場合に,当該外国の捜査による収集物を日本における刑事手続において証拠として採用することができるかどうかについて検討する。
2 裁判所が,捜査機関が違法に収集した証拠を採用して裁判をすることは,国民の司法に対する信頼が害されることとなる。もっとも,証拠収集手続の違法の程度・態様を問題とせず一律にこれを排除する結果,事案解明が害されるとすれば,司法への信頼が害されることとなる。そこで,証拠収集手続の違法による証拠排除の要請が,事案解明のための証拠採用の要請を上回るほど重大な場合には,当該証拠の証拠能力は否定される。
 この点,外国の捜査機関が外国で証拠獲得活動を行い,その手続が我が国の法令に照らすときには違法となる場合であっても,これによって獲得した証拠を許容することが国民の司法に対する信頼を害するのは,極めて極限的な場合であって,当該証拠獲得手続が個人の尊厳を害し,憲法や刑訴法の根本理念に反する場合に限られるというべきである。
3 これを本件についてみると,Z国の捜査機関が行った捜査は,無令状で捜索・差押えをするものであって,これを我が国の刑訴法の規定に照らすと違法となることに疑いはない。しかし,Z国における無令状捜索・差押えは,証拠物の所在する蓋然性が高い場所についてのみ捜索場所が限定されており,一般的な無限定の捜索・差押えまでは許容していない。そして,我が国においても,逮捕に伴う捜索・差押えにおいては,証拠の存在の蓋然性が認められることから無令状による捜索・差押えが許容されていることに照らすと,Z国の捜査機関が行った捜査に,我が国の憲法や刑訴法の根本理念に反するほど重大な違法があったということはできない。
 したがって,Z国が収集した証拠物について,証拠能力が否定されるものではない。
4 よって,当該証拠物は,Xの公判で証拠として採用することができる。

以 上



2019-03-23(Sat)

【事例演習刑事訴訟法】第28講「違法収集証拠排除法則⑴」

目 が か ゆ い

未だに花粉飛んでんすかね。

寒い日にまで飛んでるのはマジでたちが悪いと思います。

この時期は,花粉症持ちの受験生には,

ほんとにディスアドヴァンテージだと思います。

司法試験でも花粉症の受験生に特別な措置が採られるべきです。

ところで,今回は,古江の第28講です。

≪問題≫

【設 問】
 警察官Kは,Xを被疑者とする不動産詐欺事件について捜査中,証拠書類がXの知人Zの自宅に保管されているとの情報を得て,裁判官にZの自宅を捜索場所とする捜索差押え許可状の発付を請求したが,疎明資料が膨大で,令状裁判官においてその閲読・検討に長時間を要し,捜索差押許可状がなかなか発付されなかったことから,令状が発付されるまでに関係書類が隠滅されてしまうのではないかと不安になり,一刻も早く捜索を開始したいとの思いから,令状発付を待たずにZの自宅に赴いた。Kは,Z宅に向かう途中で警察官Lから携帯電話により「令状が発付された」との連絡を受けたことから,請求どおりの捜索差押許可状が発付され,捜索しているうちに令状が届くものと考え,令状の内容をLに確認しないまま,Zを立会人としてZの自宅の捜索を開始し,被疑事件に関連する土地売買契約書等の関係書類を発見した。警察官Kは,引き続きZの自宅の捜索を継続しながら令状の到着を待ったが,Lは,Kが令状を持たないで捜索を開始するとは思わず,Kが令状を取りに帰署するものと考えて,れいじょうを持参することはしなかった。Kは,いつまでも令状が届かないものの,裁判官から令状が発付されていることは間違いないのであるから,後日,被処分者であるZに令状を示せば足ると考え,立会人Zに対して,「令状は裁判官から発付されているが,手違いがあって今は手元にないけれど,明日,令状は持ってくる」と申し向けたところ,Zは,黙って頷いたので,Kは,上記土地売買契約書等を差し押さえた。なお,捜索の範囲および差し押さえた証拠物は令状記載の範囲を超えるものではなかった。Kは,翌日,Zの自宅を訪れ,Zに捜索差押許可状を呈示した。なお,Kは,同日,捜索差押調書,捜査報告書を作成するにあたり,前日のZの自宅の捜索開始時に,Zに対して捜索差押許可状を呈示した旨虚偽の事実を記載した。
 上記土地売買契約書等の関係書類は,Xの後半において,証拠とすることができるか。


みんな大好き違収排です。

今までは,あの判例の有名な基準を,割とあっさり出してしまう感じだったんですが,

(※1)にあるような酒巻先生の指摘を読むと,

たしかに,ちゃんと規範の部分も丁寧に書かないといけないなと思いました(小並感)

「司法の無瑕性」とか「違法捜査抑止」というキーワードを出すだけでなくて,

これらの意味も踏まえた説明が必要なのでしょう。

≪答案≫
1 捜索・差押えを執行するためには,被処分者に裁判所の発付した捜索差押許可状を呈示する必要があるところ(刑訴法222条1項,110条),警察官Kは,Zに対してこれを呈示しないまま,Zの自宅を捜索し,被疑事件に関連する土地売買契約書等(以下「本件土地売買契約書等」という。)を差し押さえている(以下,Kが行った捜索・差押えを「本件捜索・差押え」という。)。また,捜索差押許可状の呈示については,逮捕状の緊急執行(同法201条2項,73条3項)に相当する規定が設けられていない。したがって,本件捜索・差押えには,手続上の違法がある。
 そこで,このような違法な手続によって収集された証拠である本件土地売買契約書等を,証拠として採用することができるかどうかについて検討する(※1)
2 裁判所が,捜査機関が違法な捜査によって収集した証拠を採用することは,裁判所が捜査機関の違法捜査を是認するものと捉えられ,違法捜査が拡大する危険性がある。そこで,捜査機関による将来の違法捜査を要請する見地から,捜査機関の違法捜査によって収集された証拠は,採用できないこととすべきである(※2)。もっとも,軽微な違法手続により収集された証拠であっても,違法の程度・態様を問題とせず一律にこれを排除する結果,事案解明が害されるとすれば,司法への信頼が害されることとなる(※3)
 したがって,捜査機関の捜査手続に,令状主義の精神を没却するような重大な違法があり,これによって得られた証拠として許容することが,将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては,当該証拠の証拠能力は否定される(※4)
3 これを本件についてみると(※5),たしかに,本件捜索・差押えに係る捜索差押許可状(以下「本件捜索差押許可状」という。)は適法に発付されており,本件捜索・差押えは本件捜索差押許可状に記載された範囲を超えるものではなかったのであって,令状主義そのものに違反しているものではない。また,令状の呈示は,相手方に捜査機関の捜査に対する受任限度を告知するために行われているところ,被処分者であるZは,Kが後日の令状呈示を提案したのに対して黙って頷いていることから,令状が提示されないことによる不利益を受任しているものとも考えられ,違法の重大性は低いようにも考えられる。しかし,Kは警察官Lと適宜連絡をとることによって,容易に適法な捜査を行うことが可能であったにもかかわらず,関係書類が隠滅されてしまうのではないかとの不安から令状を呈示せずに捜索を開始しているが,不安を基礎付ける客観的根拠がなく違法捜査に出ざるを得ないとみるべき事情はない。したがって,Kにとって適法な捜査を行うことは十分に可能であって以上,Kには令状主義を没却する意図があったことが推認される。また,Kは,本件捜索・差押えを行った翌日に,捜索差押調書及び捜査報告書に,Zに対して事前の令状呈示を行った旨の虚偽の記載をしていることから,Kが本件捜索・差押えの時に令状主義を潜脱する意図があったことが推認される。以上から,本件捜索・差押えには,令状主義を没却するような重大な違法があったといえる。
 また,本件における被疑事実は,不動産という高価なものに関連する詐欺罪であって,事件は重大である。また,本件土地売買契約書等は,犯罪の目的物や,売買代金,売買条件等が記載されているものと考えられ,これらの記載から欺罔行為を基礎付けることもできるものと考えられるため,証拠としての重要性も認められる。しかし,本件捜索・差押えの違法は,捜査機関が意図的に行ったものであるから,将来的に同様の違法行為が繰り返される可能性が高い。以上から,将来における違法な捜査の抑制の見地から,本件土地売買契約書等を証拠として採用することは相当ではない。
 よって,本件土地売買契約書等は,その証拠能力が認められない。
4 もっとも,本件捜索・差押えはZの自宅に対して行われたところ,公判廷における被告人はXであるから,Xが自身以外に対する違法捜査によって収集された証拠について,その排除を申し立てることはできるか。
 違法捜査によって収集された証拠を排除すべき前記の趣旨からすれば,違法捜査によって法益侵害を受けた者の如何に拠らず,将来の違法捜査の抑制の要請は働き,かつ,司法に対する国民の信頼は影響を受ける。したがって,被告人自身が違法捜査を受けていなくとも,これによって収集された証拠の排除を申し立てることはできる。
 本件でも,Xは,本件土地売買契約書等の排除を申し立てることができる。
5 よって,Xの公判において,本件土地売買契約書等を証拠とすることはできない。

以 上


(※1)「明文の証拠法則である伝聞法則(法320条1項)・自白法則(法319条1項)や,関連性のない証拠の証拠能力が否定される趣意の中核は,証明力・信用性に弱点があり類型的に証拠価値に乏しい証拠を事実認定の素材から排除することにより,正確な事実の認定に資することを目標とするものである……。これに対して違法収集証拠排除法則は,当該証拠の証明力とは無関係に,すなわち高度の証明力の認められる関連性のある証拠物(例,薬物所持犯罪立証の要となる被告人の所持していた薬物)であっても,証拠としての許容性を否定しようとするものである。それは,前記判例の説示にもあるとおり,正確な事実の認定・刑罰法令の適用実現の基礎となる『事案の真相』の解明(法1条)という刑事手続の基本目的に真っ向から衝突する帰結を導く(例,薬物所持犯罪の被告人が当該薬物の証拠能力が否定される結果無罪となる場合)。それ故,その要件と適用範囲については,このような証拠法則が認められるべき趣旨・根拠……からの,できる限り明晰な論理構成と説得的説明が要請される。」酒巻匡『刑事訴訟法』497頁
(※2)「最高裁の説示から伺われるこの証拠法則の根拠の中核は,『将来における違法な捜査の抑制』という政策目的とみられる。前記のとおり排除法則の適用は刑事手続の基本目標の一つである事案の真相解明に正面衝突するので,その発動は,当該証拠収集の手続過程に捜査機関による『重大な違法』が認められる場合に限られる旨が示されている。したがって,裁判所による捜査手続の違法判断と証拠排除の結論は直結しない。」「このような構造から,証拠排除の申立てを受けた裁判所は,事案の真相解明の前提となる正確な事実認定への直接的影響を顧慮することなく,捜査手続の適否を判断することができ,捜査の違法を認めればこれを裁判(証拠決定や判決)において明確に宣言することができる。」前掲酒巻499頁
(※3)「判例において明言されていないが,違法捜査の抑制と並んでしばしば排除法則の根拠として挙げられるのが,『司法の無瑕性・廉潔性(judical integrity)』の維持・顕現という説明である。これは違法な捜査手続により発見・収集された証拠が,正義を実現し廉潔であるべき裁判の場で用いられることは,違法・裁判所に対する国民の信頼を害することになるから,そのような証拠は司法手続から排除されるべきであるとの考え方である。」「もっとも,司法・裁判所に対する信頼は,刑事手続の本来的目的達成とも深く関係するから,軽微な違法手続により収集された証拠であっても,違法の程度・態様を問題とせず一律にこれを排除する結果,事案解明が害されるとすれば,かえって司法への信頼を害することにもなろう。ここからは,排除法則を用いるについて捜査手続の違法の程度を考慮勘案し,それが『重大な違法』である場合に排除を検討すべきであるとの判例の説示に結びつく考え方が導かれよう。」前掲酒巻500頁
(※4)「証拠物の押収等の手続に、憲法三五条及びこれを受けた刑訴法二一八条一項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定されるものと解すべきである。」最判昭和53年9月7日刑集32巻6号1672頁
(※5)「『違法の重大性』の判断は,⒜手続違反の程度(法規〔適法行為〕からの逸脱の程度,法益侵害の程度),⒝手続違反がなされた状況(遵法行為の困難性,緊急性),⒞手続違反の有意性(令状主義潜脱の意図,計画性,認識性)等を考慮すべきです……。また,『排除の相当性』の判断は,違法の重大性を前提として,⒟手続違反の頻発性,⒠手続違反と当該証拠獲得との因果性の程度,⒡事件の重大性,⒢証拠の重要性等を考慮する」開設396頁



2019-03-23(Sat)

【事例演習刑事訴訟法】第27講「伝聞法則⑸」

今日,急に寒くないですか???

昨日までめちゃくちゃ暖かったので,

落差がすごいです。

あんまり寒いと布団から出れなくなるので,

もうちょっと気温にも配慮してもらいたいですね(今日も寝坊した顔)

ところで,今日も刑訴です。

どうやら,だいぶ前に古江の第25講と第26講は答案を書いていたようで,

今回は第27講ということになります。

≪問題≫

【設 問】
 Xは,Vに対する殺人罪で起訴されたが,殺意はなく,傷害致死罪が成立するに過ぎない旨争っている。第1回公判期日において,証人甲は,本件犯行の1週間前に,XがVから,腹部や頭部を十数回殴打され,大腿部を数回足蹴にされた直後の状況について,「私は,XがVから暴行を加えられた直後に現場に到着した。しかし,その際,Xは,殴られたり蹴られたりした箇所を酷く痛がっていたが,果物ナイフでVの腹部を刺そうとした事実はない」旨証言した。
 そこで,検察官は,その証明力を争うために,
 ⑴ 乙の捜査段階における「私は,甲と一緒に,XがVから暴行を加えられた直後に現場に到着したが,Xは,バッグの中から果物ナイフを取り出して,それでVの腹部を刺そうとして突き出したが,Vがこれを叩き落として,そのまま逃げていったのを見た」旨の供述を記載した司法警察員Kの供述録取書の取調べを請求した場合,裁判所は,これを証拠として採用することができるか。
 ⑵ 甲の捜査段階における供述(その内容は,乙の上記⑴の供述と同様のもの)を司法警察員Lが記載した捜査報告書(Lの署名・押印はあるものの,甲のそれはない)の取調べを請求した場合はどうか。検察官が甲の上記証言後に,甲を取り調べて録取した上記⑴の供述と同旨の供述録取書(甲の署名・押印があるもの)については,どうか。
 ⑶ 甲の捜査段階における供述(その内容は,乙の上記⑴の供述と同様のもの)を司法警察員Mが録音したICレコーダーの取調べを請求した場合はどうか。


弾劾証拠っていうやつですね。

司法試験でもつい最近出題されていた気がします。

司法試験で出たのは増強証拠だか回復証拠だった気がしますね。

古江の開設にはあるが,設問にはないところっていう,

なんかちょっと意地悪な出題でしたけどね。

やっぱり司法試験委員って性格悪いですよね。

≪答案≫
第1 設問⑴
 1 検察官は,証人甲の証言(以下「本件証言」という。)の証明力を争うために,乙の捜査段階における供述を記載した供述録取書(以下「本件乙供述録取書」という。)の取調べを請求している。そこで,本件乙供述録取書を,本件証言の証明力を争うための証拠(以下「弾劾証拠」という。)として採用することができるかどうかについて検討する。
 2 刑訴法328条は,公判廷供述と矛盾する同一人の公判廷外供述を公判廷供述の信用性を弾劾するために用いるのであれば,その内容の真実性を前提とするのではなく,同一人が同一事項について,公判廷外において,公判廷供述と矛盾する供述を行ったという事実を証明することによって,公判廷供述が信用できないことを立証することができるのであるから,このような立証を行う限りにおいて,刑訴法321条ないし同法324条の規定に関わらず証拠とすることを許容したものである。そして,第三者の矛盾供述は,その内容が真実であることを前提としない限り,それが存在しているという事実だけでは信用性を減殺することができないところ,同法328条によって第三者の矛盾供述を許容することとなると,必然的に第三者の矛盾供述の内容たる事実が裁判官の心証上認められ,実質証拠として機能することとなり,伝聞例外の厳格な要件を潜脱することとなる。
 したがって,刑訴法328条によって弾劾証拠とすることができるのは,自己矛盾供述に限られる。
 3 これを本件についてみると,本件乙供述録取書は,本件証言を行った甲ではない第三者たる乙の供述を録取した第三者の矛盾供述であって,自己矛盾供述にはあたらないから,刑訴法328条の弾劾証拠とすることはできない。
 4 したがって,裁判所は,本件乙供述録取書を,弾劾証拠として採用することはできない。
第2 設問⑵
 1 前段
  ⑴ 検察官は,本件証言の証明力を争うために,甲の捜査段階における供述を記載した捜査報告書(以下「本件捜査報告書」という。)の取調べを請求している。そこで,本件捜査報告書を,本件証言の弾劾証拠として採用することができるかどうかについて検討する。
  ⑵ まず,本件捜査報告書は,甲自身の供述を内容とするものであるから,自己矛盾供述であって,刑訴法328条の弾劾証拠として許容される証拠の範囲に含まれる。
  ⑶ア 次に,本件捜査報告書には,甲の署名・押印がされていないが,このような書面についても刑訴法328条の弾劾証拠として採用することができるか。
   イ 自己矛盾供述の存在は,実質証拠の証明力に影響を及ぼす補助事実として機能する。補助事実は,刑罰権の存否及び範囲を画する事実そのものではないものの,厳格な証明を要する実質証拠の証明力に大きな影響を及ぼすものであるから,厳格な証明を要する間接事実と同様に扱われるべきである。そうすると,補助事実についても,厳格な証明が必要であるから,その一種である自己矛盾供述についても厳格な証明が必要である。
 そして,供述録取書には,供述者が供述録取者に対して供述をする過程(以下「第1供述過程」という。)と,供述録取者がこれを書面化して伝える過程(以下「第2供述過程」という。)が存在し,刑訴法328条が対象とするのは第1供述過程にすぎないのであるから,第2供述過程については,別途伝聞例外の要件を満たすことによる厳格な証明が必要となる。
 したがって,供述録取書を弾劾証拠として採用するためには,供述者の署名・押印が必要である(刑訴法322条1項)。
   ウ これを本件についてみると,本件捜査報告書には,供述者である甲の署名・押印がされていないのであるから,本件捜査報告書は刑訴法が定める要件を満たしていない。したがって,厳格な証明がされているということができないため,本件捜査報告書は,弾劾証拠として用いることができない。
  ⑷ よって,裁判所は,本件捜査報告書を,弾劾証拠として採用することができない。
 2 後段
  ⑴ 検察官は,本件証言の証明力を争うために,甲の本件証言後の取調べにおける供述を記載した供述録取書(以下「本件甲供述録取書」という。)の取調べを請求している。そこで,本件甲供述録取書を,本件証言の弾劾証拠として採用することができかどうかについて検討する。
  ⑵ まず,本件甲供述録取書は,甲自身の供述を内容とするものであるから,自己矛盾供述にあたり,弾劾証拠として許容される証拠の範囲に含まれる。
 また,本件甲供述録取書には,甲の署名・押印があるから,刑訴法の要件を満たしている。
  ⑶ア もっとも,本件甲供述録取書は,その弾劾の対象である本件証言がされた後に作成されたものであるが,このような証拠も弾劾証拠として許容されるか。
   イ 刑訴法328条は,刑訴法321条1項2号と異なり,弾劾証拠の範囲を「前の供述」に限定していない。また,憲法37条2項の証人審問権は,実質証拠に関するものであって,補助証拠についてまで保障するものではないから,弾劾証拠の内容について反対尋問権を保障する必要がなく,「前の供述」に限定する必要はない。また,自己矛盾供述の存在自体は非伝聞であるから,自己矛盾供述の時期を限定する必要はない。
 したがって,公判廷における証言より後にされた自己矛盾供述であっても,弾劾証拠として採用することができる。
   ウ そうすると,本件甲供述録取書も,弾劾証拠として許容される。
  ⑷ よって,裁判所は,本件甲供述録取書を,弾劾証拠として採用することができる。
第3 設問⑶
 1 検察官は,本件証言の証明力を争うために,甲の捜査段階における供述を録音したICレコーダー(以下「本件ICレコーダー」という。)の取調べを請求している。そこで,本件ICレコーダーを,本件証言の弾劾証拠として採用することができるかどうかについて検討する。
 2 本件ICレコーダーの内容は,甲自身の供述を録音したものであるから,自己矛盾供述である。そして,ICレコーダーにおいては,供述録取書と同様に第1供述過程と第2供述過程が含まれるが,第2供述過程については機械的な方法によって行われるため,知覚・記憶・表現・叙述の過程が含まれておらず,伝聞法則の適用がない。したがって,刑訴法の定める要件を満たすものである。
 したがって,本件ICレコーダーは,弾劾証拠として許容される。
 3 よって,裁判所は,本件ICレコーダーを,弾劾証拠として採用することができる。

以 上


2019-03-22(Fri)

【事例演習刑事訴訟法】第24講「伝聞法則⑵」

1日4通の壁は高い。

たぶん書こうと思えば書けるんだと思うんですが,

なにしろ研究室で休憩している時間が長いため,

結局3通目を書き終わる頃には1日が終わるんですよね。

無駄を失くしてスリム化を図らないといけませんね。

今回は,古江の第24講です。

≪問題≫

【設 問】
 R株式会社総務部長Xおよび総務課長Yが総会屋Sに現金1000万円を供与したとの会社法違反(利益供与)事件の捜査において,司法警察員Kにおいて捜索差押許可状の発付を得て同社社屋を捜索したところ,同社総務部長室のX使用の机の施錠された引き出しの中から,S名義でY個人宛の額面1000万円の領収書1通および「XとYの打合せの結果,YがR社の裏金から総会屋対策としてSに現金1000万円を供与し,Y宛の領収書を徴することとする」と記載されたYの筆跡のメモ紙1枚が発見され,いずれも上記許可状により差し押さえられた。Xは,会社法違反罪(Yとの共謀によるSに対する利益供与)で起訴されたが,罪状認否において,Sへの金員供与自体を否定した。検察官は,立証趣旨を「領収書の存在と内容」として上記領収書の取調べを,立証趣旨を「メモの存在と内容」として上記メモ紙の取調べをそれぞれ請求したところ,被告人Xの弁護人は,いずれも不同意とした。裁判所は,これらを証拠として採用することができるか。


伝聞証拠の肝はなんといっても推論過程をしっかり書くことだと思うんですが,

ここの一連の論述で自分の文章力が丸裸にされますよね。

表現の適切さを欠くと,推論が成り立たなくなりますからね。

どの科目のどの答案よりも神経をつかいます。

下記の答案も果たして推論過程の記述として必要十分なのか,

とても心配です。

≪答案≫
1 検察官が,S名義でY個人宛の額面1000万円の領収書1通(以下「本件領収書」という。)及びYの筆跡のメモ紙(以下「本件メモ紙」という。)を証拠として請求したのに対して,被告人Xの弁護人は,いずれも不同意としている。これは,本件領収書及び本件メモ紙が,「公判期日における供述」に代わる「書面」(刑訴法320条1項。以下,この書面を「伝聞証拠」という。)にあたるため,関連性を欠き,証拠能力が認められないとする主張であると考えられる。そこで,本件領収書及び本件メモ紙が,伝聞証拠にあたるかどうかについて検討する。
2 刑訴法320条1項が伝聞証拠の証拠能力を制限しているのは,伝聞証拠に含まれる原供述には,知覚・記憶・表現・叙述の供述過程があり,各過程において誤りが入り不確かな推認となるにもかかわらず,反対尋問,偽証罪による処罰予告,裁判所による供述態度の観察により原供述の真実性の確認ができないためである。そこで,伝聞証拠とは,公判廷外の供述を内容とする証拠であって,要証事実との関係で原供述の内容の真実性が問題となるものをいう。
3⑴ これを本件についてみると,まず本件領収書は公判廷外の供述を内容とする証拠である。
 次に,要証事実との関係で本件領収書の内容の真実性が問題となるかについて検討する前提として,本件における要証事実が何かについて検討する。本件の公訴事実はXのYとの共謀によるSに対する会社法違反罪(利益供与)であるところ,XはSへの金員供与自体を否定しているから,公判廷ではXの犯人性が争点となっている。この点,本件領収書の立証趣旨は「領収書の存在と内容」とされている。領収書は,その性質上,金員を受領することに伴って作成されるものであるから,それが相手方に交付された事実のみをもって,その領収書に記載されている内容に相当する金員の授受の事実を推認することができる。そうすると,本件領収書は,S名義でY個人宛の額面1000万円のものであって,これがSの下を離れてYと共謀したものとされるXの下にあることから,少なくとも,YとSの間で1000万円の金員が授受されたものであることが推認される。そして,共謀共同正犯においては,共謀に基づいて一部の者が実行行為を行えば足りるところ,本件領収書から推認される事実は,共謀に基づく一部の者であるYの実行行為があったことを推認するものである。したがって,本件領収書の立証趣旨を「領収書の存在と内容」とすることは,無意味ではないから,検察官の設定した立証趣旨がそのまま要証事実となる。
 そして,前記のような推論過程からすれば,本件領収書が存在していること自体が問題となるにすぎないのであるから,要証事実との関係で,その内容の真実性が問題とはならない。
 したがって,本件領収書は伝聞証拠ではない。
 ⑵ 次に本件メモ紙も,公判廷外の供述を内容とするものである。
 次に,要証事実について検討すると,本件メモ紙の立証趣旨は「メモの存在と内容」とされている。本件メモ紙には,「YがR社の裏金から総会屋対策としてSに現金1000万円を供与し,Y宛の領収書を徴する」との記載があるが,YはR社の総務課長の地位にあること,YがSに対して1000万円を供与したこと,Sが総会屋であること,Y宛の領収書が作成されたことは,現実に起きた犯行の態様と一致しており,かつその内容は詳細である。そうすると,本件メモ紙に記載された内容と現実に起きた犯行とが偶然に一致したものとは考えにくく,この場合には,本件メモ紙に記載された計画に従って犯行が遂行されたことが推認される。また,本件メモ紙は,Xが使用する机から発見されており,しかも発見された引き出しは施錠されていたのであるから,X以外の者が引出しに本件メモ紙を出し入れしたものとは考えにくい。そうすると,Xが本件メモ紙に記載の犯行に何らかの形で巻よしていることが推認される。これらの事実からすれば,Xは,本件メモ紙に記載された犯行の主体たるYとの間で謀議を行っていたことが推認される。そして,本件の公訴事実は利益供与の共謀共同正犯であって,XとYとの間で謀議があることは,共謀が存在したことを推認する事情である。したがって,本件メモ紙が存在すること自体から,XとYとの間で共謀があったことを推認することができるのであるから,本件メモ紙の立証趣旨を「メモの存在と内容」とすることは無意味でなく,検察官の設定した立証趣旨がそのまま要証事実となる。
 そして,前記のような推論過程からすれば,本件メモ紙が存在すること自体が問題となるにすぎないのであるから,要証事実との関係で,その内容の真実性が問題とならない。
 したがって,本件メモ紙は伝聞証拠ではない。
4 よって,裁判所は,いずれの証拠についても,採用することができる。

以 上



2019-03-22(Fri)

【事例演習刑事訴訟法】第23講「伝聞法則⑴」

今日は若干(1時間半)の寝坊があったため,

答案作成が遅れています。

今日中に今回の答案を含めて3通書きたいと思っていますが,

果たして間に合うのでしょうか。

もう夕方になってしまいましたが……

≪問題≫

【設 問】
 Xは,Vに対する強姦致死罪で起訴されたが,犯人性を否認した。そこで,検察官は,Vの友人であったWについて,立証趣旨を「被害前のVの言動状況」として,その証人尋問を請求したところ,採用された。証人Wは,検察官の主尋問に対して,「Vから,生前,『Xは嫌いだ。いやらしいことばかりするから』と打ち明けられた」旨証言したところ,弁護人は,直ちに異議を申し立て,「伝聞であって排除されるべきである」旨述べた。裁判所は,検察官に対して意見を求めたところ,検察官は,「当該証言によって立証しようとするのは,WがVから上記の内容を打ち明けられたこと自体であって,非伝聞である」旨の意見を述べた。裁判所は,どのような措置を採るべきか。


いよいよ伝聞にやってきました。

刑訴と言えば伝聞みたいなとこありますからね(ない)

古江本でも5問も収録されています。

この5問を通じて伝聞マスターになろうと思います。

≪答案≫
1 本件では,証人Wが「Vから,生前,『Xは嫌いだ。いやらしいことばかりするから』と打ち明けられた」旨証言(以下,Vの発言を「本件原供述」といい,Wの証言を「本件証言」という。)したことについて,伝聞であるか否かが争われている。そこで,本件証言が「公判期日外における他の者の供述を内容とする供述」(刑訴法320条1項。以下「伝聞証拠」という。)に該当するかどうかについて検討する。
2⑴ 刑訴法320条1項が伝聞証拠の証拠能力を制限しているのは,伝聞証拠に含まれる原供述には,知覚・記憶・表現・叙述の供述過程があり,各過程において誤りが入り不確かな推認となるにもかかわらず,反対尋問,偽証罪による処罰予告,裁判所による供述態度の観察により原供述の真実性の確認ができないためである。そこで,伝聞証拠とは,公判廷外の供述を内容とする証拠であって,要証事実との関係で原供述の内容の真実性が問題となるものをいう。
 ⑵ これを本件についてみると,本件証言はWが公判廷外においてVが発言した内容をいうものであるから,公判廷外の供述を内容とする証拠である。
 次に,要証事実との関係で本件原供述の内容の真実性か問題となるかについて検討する前提として,本件における要証事実が何かについて検討する。本件の公訴事実はXのVに対する強姦致死罪であるところ,Xはその犯人性を否認しているから,公判廷での争点はXの犯人性である。この点,本件証言の立証趣旨は「被害前のVの言動状況」とされているが,検察官の意見を総合すると,本件証言の立証趣旨は,WがVから本件原供述を聞いた事実であると考えられる。しかし,本件原供述に含まれるいずれの発言をもってしても,Xが犯人であることの間接事実を推認することはできないのであるから,争点に対して何らの証明力を有していない。そうすると,検察官の設定する立証趣旨によっては,本件証言は証拠として無意味であるため,要証事実を検察官の設定する立証趣旨とすることはできない。本件証言は,XがVに対していやらしいことばかりしていた事実から,XがVに対して情を通じたいとの野心を有していたことを推認し,もってVに対する強姦の動機を推認するものである。したがって,本件証言の要証事実は,「XがVに対していやらしいことばかりしていたこと」である。
 そして,本件証言に含まれる「いやらしいことばかりするから」との発言が真実でなければ,前記の推論過程は成立しないのであるから,本件証言は要証事実との関係でその内容の真実性が問題となる。
 したがって,本件証言は伝聞証拠にあたる。
4 もっとも,本件証言について伝聞例外の適用がある場合には,例外的に本件証言にも証拠能力が認められる。本件証言は,「被告人以外の者」であるWが「被告人以外の者」であるVの「供述」を内容とする「供述」であるから,刑訴法324条2項が準用する同法321条1項3号の要件を満たした場合には,伝聞例外の適用を受け,証拠能力が認められる。
 本件原供述の「供述者」であるVは「死亡」しているため,供述不能の要件を満たす。そこで,本件証言が「犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであ」り(※1),かつ,本件証言が「特に信用すべき情況の下にされたものである」(※2)と認められれば,同項の要件を満たす。
5 よって,裁判所は,本件証言について,前記の要件を満たす場合には弁護人の異議を棄却し(※3),前記の要件を満たさない場合には異議を認容する。

以 上


(※1)「単に犯罪事実の存否に関連する程度では足りない。当該供述を証拠とするか否かにより事実認定(犯罪事実及び重要量刑事実の認定)に著しい差異・影響を生じさせる可能性があると外形的に認められる趣旨に解すべきであろう。」酒巻匡『刑事訴訟法』544頁
(※2)「『特信情況』は,証拠能力の要件であるから,供述内容の信用性・証明力それ自体ではなく,供述のなされた際の事情,供述の動機・態様等の外部的事情を考慮勘案して判断される。動機・態様がごく自然な場合や逆に異常な事態の場合(例,臨終の発言,衝動的発言)故に特信情況が認められることもあり得る。事件とは無関係に作成された私人の日記,手紙,メモ等は,その作成時点の外部的情況が,一般的に真実を記載することが通常期待されるものであるかで判断される。例えば,真実を記載しなければ当人の事後の行動に支障をきたす事情がある,相手に真意を伝達する必要がある,他人には知られないという意識で記載されたものと認められる等の事情は特信情況を示す素材となろう。」前掲酒巻545頁
(※3)棄却なのか却下なのかについてはこちらを参照



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